日立製作所は2024年3月19日、NVIDIAとの新たな協業を発表した。
同協業は、日立のエネルギーやモビリティ、コネクテッドシステムといったOT(制御・運用・技術)領域でのソリューションに、NVIDIAの生成AIに関するノウハウを組み合わせることで、インフラ業界や製造業界などの社会イノベーションを目指していくというもの。各業界で使用されているデバイスや設備、センサーから日々生成されているデータを取り込み、そこに生成AIを活用することで、シミュレーションの高度化や運用コストの削減・効率化を実現するとしている。
協業にあたり、日立とNVIDIAは共同で新たなCoE(Center of Excellence)を設立。日立のOT領域でのドメインナレッジをNVIDIAのAIソフトウェアやGPU技術と融合し、各業界に向けたソリューションの開発に取り組んでいくと述べている。
明らかとなっている具体的な協業内容は大きく3つ。1つ目は、「NVIDIA Omniverse」や「NVIDIA Modulus」を活用した産業用の次世代デジタルツイン環境の開発だ。デジタルツイン環境でのシミュレーションを現実の世界に反映することで、再生可能エネルギーへの移行加速や、創薬などヘルスケア領域での新たなイノベーション、交通システムの安全性向上・効率化などを実現できるという。
2つ目は、日立の「Lumada AIソリューション」とNVIDIAの「NVIDIA Enterprise」の統合。これにより、エネルギーやモビリティ、製造業など様々な業界企業でのオファリング強化や、AIソリューション創出が可能になるとしている。
そして3つ目の協業内容は、NVIDIAのGPUサーバープラットフォーム仕様「NVIDIA DGX BasePOD」の認証を取得したインフラ製品「Hitachi iQ」の開発だ。日立の米国子会社であるHitachi Vantaraから、現地では第1四半期中に、日本では2024年度中の提供開始を目指しているという。
Hitachi iQは、AIソリューションスタック上に各業界で求められる機能を階層的に搭載することで、より具体的かつ組織のビジネスに直結する成果を得られるようにし、ターゲットとするアウトカムを促進。同協業により、迅速で実用的なインサイトを促進するハイブリッドクラウド対応のAIソリューションを創出し、AIワークロードのリソース要件によって負荷が増大しているITインフラの課題を解決するとしている。
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