SAS Institute(以下、SAS)は、ラスベガスにて開催された「SAS Innovate 2024」期間中に、SAS Viyaの機能拡張とAIサービスの強化戦略について発表を行った。
主なトピック
- SAS Viyaの拡張 業界別に特化した生成AIアシスタント戦略を推進
- SAS Viya Workbenchの一般提供を開始
SAS Viyaの拡張 業界別に特化した生成AIアシスタント戦略を推進
まずは、SAS Viyaの拡張。生成AI機能を搭載し、業界別に特化した生成AIアシスタントを提供することで、単発で終わることのない企業のイノベーションを支援すると、同社CTOのブライアン・ハリス氏は述べている。
拡張後のSAS Viyaにおける特徴は以下のとおり。
- 生成AIのオーケストレーション:外部の生成AIモデルを既存のビジネスプロセスやシステムに統合し、エンドツーエンドのエンタープライズのユースケース向けにLLMを組み込む
- SAS Viya Copilot:分析やビジネスタスク、業界タスクを加速するパーソナルアシスタントで、開発者、データサイエンティスト、ビジネスユーザーの生産性を向上。コード生成、データクリーニング、データ探索、マーケティングプランニング、ジャーニーデザイン、ナレッジギャップ分析などの様々なタスク向けにツールを提供する。初回版は、招待制のプライベートプレビューを通じて提供
- SAS Data Maker:機密情報を損なうことなく高品質の合成データを表形式で生成して、データプライバシーや希少性の問題に対処し、データプライバシーへの対応を支援。プライベートプレビューで提供中
また、上記以外に企業の顧客エンゲージメント向上を実現するための取り組みも紹介。具体的には、SAS Customer Intelligence 360への生成AI機能の搭載を進めており、既にストリーミング・マーケティングプランニングやジャーニーデザイン、コンテンツおよびクリエイティブ開発において生成AIアシスタントを提供しているという。
また、企業のマーケティング担当者に向け、SAS Customer Intelligence 360に以下3つの新機能を追加したとしている。
- 生成AIを利用した自然言語プロンプトに基づく推奨カスタマーの構築
- カスタマーデータを解釈するチャット体験
- 電子メールの件名を生成AIで提案するサービス
マリネラ・プロフィ氏(Analytics and AI Lead and Data Scientist)は、SAS ViyaのAIや生成AI機能を活用するいくつかの企業の事例を紹介した。
Georgia-Pacific社(製造業)
製造設備あるいは製造工程に問題が生じた際、センサーデータやビジネスルール、レコメンダーシステム、生成AIなどによって適切な次善策を提案する。これにより、イベント発生時に従業員がリアルタイムで即座に適切な判断を下せるようになる。
Wienerberger社(製造業)
エネルギー消費量やGHG排出量の削減、製品の品質向上にSAS on Microsoft Azureを利用。具体的には、SASのAIやIoTアナリティクスを使用してすべてのデータ・ストリームを連携し、生産プロセス全体を分析している。エンジニアと現場作業員が、製造プロセスの各工程について正確な情報を得られるようになり、レンガの乾燥と焼成をより低コストで行うための具体的な数値目標の特定が可能に。
SAS Viya Workbenchの一般提供を開始
同社が2023年の9月に発表した、AIモデルの開発環境をオンデマンドで提供するSAS Viya Workbenchの一般提供が開始されるという。
SAS Viya Workbenchは、セルフプロビジョニング機能やセルフターミネイト機能を備えた、効率的なAIモデルの開発環境を実現するサービスだと、ジャレド・ピーターソン氏(Senior Vice President, Research and Development)は述べる。分析専用の環境にはカスタマイズ可能なCPU/GPUが搭載され、プロジェクトのニーズに応じた演算能力が得られるという。構築したモデルなどの成果物は、SAS Viyaでデータ管理やガバナンスに活用し、オペレーションを展開することが可能だとしている。
同ソリューションは2024年度の第2四半期中にAmazonのAWS Marketplaceを通じて提供が開始され、今後は他のクラウドプロバイダーへの対応およびSaaS導入オプションが追加される計画だという。
【関連記事】
・ラスベガスでデータとAIの祭典「SAS Innovate」開幕! AI時代の企業とSASの在るべき姿を描く
・SAS、米ラスベガスで「SAS Innovate」開催 200以上のセッションとワークショップ、分科会、ラウンドテーブルなど
・不正対策担当者の83%が、2025年までの生成AI導入に意欲──SASグローバル調査