カラクリは、東京海上日動火災保険と協働で、代理店からの照会応答時に発生する「担当振り分け」の自動化や照会応答データを利用した「FAQ作成」などによる照会応答業務の高度化を目指した実証実験を開始した。
代理店照会応答業務では、1日数千件の問い合わせに対して、目視で内容を確認してコンタクトセンターや営業課支社に割り振ったうえで回答を実施していたことから、業務の効率化や顧客満足度向上が課題だったという。
同社は、照会応答業務に生成AIを活用することで顧客対応の迅速化を進めているが、顧客満足度を一層向上させるためには、AI活用により適したデータ整備、より効率的な体制構築の検討が必要であると捉えており、顧客対応領域の生成AI活用において豊富な実績を持つカラクリとともに実証実験を行う運びとなったとしている。
生成AIを活用した代理店支援プロジェクトについて
同プロジェクトは、生成AIと、カラクリが東京海上日動のデータをもとにチューニングした独自AIを用いて、代理店からの照会応答に関する「担当振り分け」「FAQ作成」「分析レポート支援」などの業務自動化を目指すもの。
生成AIのより効果的な活用に向けて、データを適切な形に整備する「要約」、最適な担当者への「振り分け」、基盤となるデータベース拡充に向けた「FAQ生成」「分析」の4要素について実証実験を行うという。これらが連動することで、照会応答業務全般のさらなる効率化が期待されるとしている。
- データの要約:代理店から寄せられる問い合わせをそのまま利用すると、枕ことばや長文が情報のノイズとなり、AIが質問の背景を絞り込むことが困難になる場合があるという。照会データを要約することで、AIによるデータ判読性を高め、RAGの検索精度の向上を図るとしている
- FAQ生成:マニュアルや照会応答データを、1の要約技術などを用いて一問一答のQ&A形式のデータに変換。自動作成したQ&A形式データをもとに発生頻度などを踏まえFAQとして抽出することで、従来は人が行っていた業務をAIにより自動化し、業務時間の削減と顧客対応の品質向上を実現するという
- 振り分け:生成AIと独自AIを活用して、来着した照会を回答難易度などに応じて「コンタクトセンター対応」「営業拠点対応」「FAQによる解決」に自動的に振り分けることで、最適な担当体制を実現し、業務時間の削減と顧客対応の迅速化を目指すとしている
- 分析:3の技術を応用し、AIが代理店ごとの問い合わせ傾向を分析し、東京海上日動の担当者へ支援レポートの提供や勉強会の立案を行う。これにより代理店の顧客対応力向上に資する支援を強化し、顧客満足度の向上につなげるという
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