SAS Institute(以下、SAS)は、2023年に発表した業界別ソリューションへの10億ドルの投資における最新の取り組みとして、 新しいAIモデルを発表した。それぞれのモデルが、多くの労力と時間を要するような特定のプロセスに対応しているという。
このパッケージ化されたモデルは、購入後すぐに使用可能。また、顧客データのトレーニングのカスタマイズと高速化にも対応するとのことだ。いずれのモデルも、あらゆる規模の組織の既存システムとすばやく簡単に統合できるとしている。
同ソリューションでは、SASのデータ倫理実践(Data Ethics Practice)のガイドラインを参考に、シンプルなドキュメンテーションを利用して分かりやすく、説明の容易な結果を生成するモデルを作成可能だという。責任あるイノベーションの最高水準を満たしつつ、ユーザーが自分の時間を取り戻し、生産性と投資対効果の向上を図れると述べている。
現時点で利用できるモデルは以下のとおり。
- クロスインダストリー:AI駆動型のエンティティ解決、ドキュメント分析
- 医療:服薬遵守リスク
- 製造業:戦略的なサプライチェーン最適化
- 公共部門:食糧援助の支払整合性、消費税に関する税務コンプライアンス
2025年には、以下のモデルの提供を予定しているとのことだ。
- 銀行:支払いとカードの不正検出モデル
- 医療:医療費の支払整合性
- 製造業:作業員の安全管理
- 公共部門:個人所得税に関する税務コンプライアンス
同社は次の取り組みとして、SASのモデルに対応するエージェントを追加し、業界に特化した製品の自律性をさらに高めていくとしている。
データサイエンティストがデータレイクを作成し、微調整するには、数週間から数ヵ月を要するという。この課題に対しSASが出した答えは、設定済みのAIエージェントだという。これにより、複雑なデータ準備タスクが自動化され、手動でデータを再構築しなくても、リアルタイムでモデルを実行できるようになるとのことだ。
同社で応用AIおよびモデリング担当のバイスプレジデントを務めるUdo Sglavo(ウド・スグラヴォ)氏は、「AIの未来は、単にインテリジェントなだけでなく、信頼でき、すぐに使えて、関連性の高いエージェントにあると考えます。SASの新しい業界特化型モデルは、数十年にわたって培ってきた専門知識に基づき、倫理重視の姿勢で構築されており、エージェンティックAIに向けて大胆な1歩を踏み出すものとなっています。エージェンティックAIとはつまり、文脈に沿って考え、目的を持って行動し、実質的な影響を与えるソリューションです」と述べている。
Udo Sglavo氏(Vice President, Applied AI and Modeling, SAS Institute)
※米国フロリダ州オーランドで5月6日~9日(現地時間)に開催された「SAS Innovte 2025」にて
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