ガートナージャパン(Gartner)は、2025年のアジア太平洋(APAC)地域における政府関連テクノロジのトップ・トレンドを発表した。
政府機関のCIOは、以下のトレンドが自組織に与える影響を踏まえて、投資、サービス提供、責任あるイノベーションに関する意思決定の指針とすべきだとGartnerは述べている。
【トレンド1】市民向けパーソナライズ・サービスとサポートのためのAIエージェント
AIエージェントとは、デジタルおよびリアルの環境で、状況を認識し、意思決定を下し、アクションを起こし、目標を達成するためにAI技術を適用する自律的または半自律的なソフトウェアであり、公共サービスの提供を強化するとしている。初期導入では、建築申請などの申請や給付の処理を法令や政策に基づいて行うことに焦点が当てられるとのことだ。多くのAPACの政府機関は、法令や規制フレームワークの解釈にもAIエージェントの使用を模索しているという。
【トレンド2】デジタル・イノベーション・ラボとデータ・サンドボックス
政府機関内のイノベーションは、データの制約や、テクノロジ・パートナーとの関わり方を規定する調達に関する法令・ガイドラインによって制限されているとのことだ。APACの多くの政府機関は、イノベーション・ラボを設立し、人間中心のイノベーションの取り組みを支援するための管理されたデータ環境、すなわち「サンドボックス」を設けるとともに、政府データを保護しているという。シンセティック(合成)データは、個人情報やプライバシーを守りつつオープンデータを補完するためにしばしば使用されるとしている。
例としては、シンガポール海事港湾庁の各種テクノロジを試験するイノベーション・ラボや、台湾のデジタルIDウォレット・サンドボックス・プログラムが挙げられるという。オーストラリアでは、連邦および州政府が教育機関と連携し、イノベーション・スペースの設立や支援に積極的とのことだ。
Gartnerは政府機関のCIOに対し、ラボから得られる本質的な成果を検証し、イノベーション投資の妥当性を強固にすることを推奨しているという。これにより、政府全体での投資とするか、特定部門や機関のミッションに特化するかを判断できるとしている。
【トレンド3】ガバナンス主導のAI導入
AIの導入が進む中、市民体験の向上や業務効率化、ミッション成果の支援を目的として、政府機関にはリスク・コスト・コントロール・価値のバランスを取るAIガバナンス・フレームワークの確立が求められているという。Gartnerは2028年までに、少なくとも80%の政府機関がAI導入および継続的な監視を独立監査下に置くと予測しているとのことだ。
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