米現地時間9月8日、Splunkの年次イベント「.conf25」が米国・ボストンで開幕した。11日までの会期中には、同社幹部陣やパートナー企業による講演、「Splunkie Awards」というアワードの受賞者などが発表されるなど、“Splunker”(Splunkのユーザー)にとってのフラグシップイベントとなる。なお、今回は日本からも150名ほどが参加しているとのことだ。

CIsco President and CPO(Chief Product Officer)ジートゥ・パテル(Jeetu Patel)氏
同日の基調講演には、SplunkでSVP and GMを務めるカマル・ハティ(Kamal Hathi)氏、CIsco President and CPO(Chief Product Officer)のジートゥ・パテル(Jeetu Patel)氏らが登壇した。
基調講演では、AIの普及を妨げる「インフラの制約(Infrastructure constraint)」「信頼の欠如」「データギャップ」という3つの課題が挙げられると、これらを解決するためにCiscoとSplunkが一体となって課題解消に取り組むと言及。その上で、Splunkが「AIのためのマシンデータファブリック」となるための新機能やアーキテクチャが発表された 。
主な新機能やコンセプトは以下の通り。
新たなアーキテクチャ「Cisco Data Fabric」

AI時代において、マシンデータがもたらす“データの価値”を安全かつ最大限に引き出すための新しいアーキテクチャ。Cisco Data Fabricについて、パテル氏は「これまでにない革命的なアーキテクチャ」と表現した。Splunk環境下において同アーキテクチャを適用することで、より安価かつ容易にマシンデータを大規模に用いた、自社独自のAIモデルなどを構築できるようになる。
データフェデレーション機能の拡張

データを複製せずにSplunkで利用するためのデータフェデレーション機能を拡張するため、新たにSnowflakeとの連携による「Federated Search For Snowflake」が発表された。これによりSplunkのインターフェース上から、Snowflakeのデータを直接クエリできるようになる。将来的には、Microsoft AzureやCiscoのテレメトリデータにも対応予定とのことだ。
AIによるマシンデータ活用の新基盤

マシンデータから発生する“時系列データ”をAIに学習させるため、新しく2つのモデルが発表された。一つはオープンウェイトAIモデルの「Time Series Foundation Model」で、2025年11月にHugging Faceで公開される予定だ。もう一つは、AIトレーニングに最適化されたターンキーソリューションとして「Machine Data Lake」が公表され、アルファ版を2026年2月に提供するとした。これらの機能追加により、自社のマシンデータを活用した独自の「マシンGPT(Machine-GPT)」を作成できるようになる 。

自然言語によるインシデント対応を可能とする「AI Canvas in Splunk」

自然言語での対話を通じて、Splunkのカスタムダッシュボード上にウィジェットを動的に自動生成する「AI Canvas in Splunk」が発表された。たとえば、セキュリティアラートの調査においてAIエージェントが根本原因を特定した上で、専門家とのリアルタイムな共同作業、インシデントレポートの自動生成などをシームレスに行う。
Cisco製品との連携強化

Ciscoとの統合による具体的なメリットとして、Ciscoのファイアウォール製品から出力されるログをSplunkに無料で取り込めるようになることが発表された。これによりSplunkの利用コストの削減にもつながるとした。
なお、これらの新機能などについては、イベント2日目に詳細が発表される。EnterpriseZineでは、基調講演をはじめとした詳細な現地レポートも配信予定だ。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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