オープンテキストは2026年9月16日、生成AIの急速な普及にともなう企業内のビジネス文書活用と課題解決をテーマとしたメディアセッションを開催。同会では、AI投資を成功に導くためのデータ基盤整備の重要性が示され、同社が提供するコンテンツ管理ソリューションや新機能が披露された。
セッション冒頭では、マーケティング統括本部 本部長の田中源太郎氏が同社のグローバルおよび日本市場における事業概要を説明。売上高52億ドル(FY26)規模を誇るグローバルカンパニーとして、日本市場でも2,500社以上の顧客と120社を超えるパートナーとともに事業を展開している実績が報告された。
続いて、ソリューションコンサルティング統括本部の西野寛史氏が登壇し、AI投資を成功させるためのデータ基盤戦略について解説した。西野氏は、AI技術が対話型から自律的に動くAIエージェント(Agentic AI)へと進化する中で、最も重要なのは「AIに与えるデータの質」であると強調する。企業の全データの約80%を占める文書などの非構造化データを適切に管理・紐付けすることが、AI活用の成否を分けると説明した。
特に、非構造化データにビジネス的な意味(メタデータ)とデータ同士のつながりを持たせる「ナレッジグラフ」の構築が、AIの回答精度向上(ハルシネーションの防止)やデータ検索の効率化に不可欠であるという。そのうえで西野氏は、従来のRAG(検索拡張生成)構築において陥りがちな4つの落とし穴への対策と、それを解決する具体策を提示した。
- 新たなサイロの形成と情報の陳腐化:AI専用のデータ基盤を別途作ると二重管理が生じる。本来の文書保管場所自体をRAG基盤にすることが不可欠
- 新旧情報の誤認識:版管理が不十分な場合、AIがドラフト(草案)を確定情報として回答するリスクがある
- 回答精度の低下:整理されていない雑多なデータをAIに読み込ませると精度が落ちるため、ナレッジグラフによる事前検索フィルターが必要
- 情報漏洩リスク:ユーザーの閲覧権限とAIの回答生成範囲を厳格に同期させる必要がある
オープンテキストでは、これらの課題を解決するため、SAPなどのERPやSalesforceなどのCRMといった基幹業務システムとコンテンツ管理基盤を統合。システムから正確なメタデータや関係性を自動同期することで、正確でデータリッチなナレッジグラフを省力で構築できる仕組みを提示した。
さらに、業務システムとの大規模な連携を行わずに、共通のキー(取引先番号など)を基にワークスペース同士を半自動で関連付けられる新機能「ダイナミック・リレーション(Dynamic Relation)」も発表された。
西野氏は、オープンテキストの立ち位置と強みについて次のように語る。
「私たちはAIそのもののベンダーではなく、AIを安全かつ効果的に生かすための情報管理の専門家だ。業務プロセスと統合された本来の保存場所で高度な文書管理を行うことこそが、使いものになるRAGの前提条件となる」(西野氏)
また、クラウドストレージやデータ分析基盤との差別化について問われた際も、「単にファイルを保管するだけでなく、ビジネスのコンテキスト(文脈や関係性)を持たせた管理ができる点に当社の歴史とアドバンテージがある」と自信を見せた。
デモンストレーションでは、IT開発プロジェクトの遅延原因とリスクをAIに分析させるユースケースが紹介された。
プロジェクト単体の文書(議事録や要件定義書)だけでなく、ナレッジグラフによって紐付けられた「役員会の投資判断文書」や「後続の支払い見積もり」までAI(Content Aviator)が自動で参照。「現行業務踏襲の強い要望によってFit to Standard原則から逸脱し、アドオン調査が発生していること」「このまま進むと3,000人月分の追加工数が発生し、当初予算を超過するリスクがあること」を導き出した。個別のファイル群を横断した状況把握と課題解決へのアプローチが示された。
オープンテキストは、AIエージェント時代の到来を見据え、企業が保有する非構造化データをAI-Readyな状態へと整える支援をさらに強化していく方針だ。今後も基幹システム連携やコンプライアンス管理を軸とした堅牢なデータプラットフォームを提供し、企業のDXと知的資産の活用をバックアップしていく。
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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