Zendeskは2026年9月17日、年次イベント「Zendesk Showcase Tokyo 2026」を開催。また同日、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)専任の最高技術責任者(CTO)として、David Hall-Johnston(デヴィッド・ホール・ジョンストン)氏が就任したことも発表された。
開会にあたり、「『作りこまない』Zendesk AI。現場が使いこなして始まる、CX/EXの未来」と題してZendesk 代表執行役社長 森太郎氏が登壇。グローバルでZendesk AIの利用企業が32,000社に達し、新規売上高の約50%をAI関連ビジネスが占めていることを明かした。国内でも3,000社が導入し、2026年2月には政府のクラウドセキュリティ評価制度であるISMAPへの登録や、AIマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 42001」の認証を取得。ガバナンス要件の厳しい金融や官公庁への導入が進んでいる状況を紹介した。
また、同社が実施した年次調査「CXトレンドレポート 2026年版」の結果から、国内消費者の78%が24時間365日のサービス対応を望む一方、AIの判断プロセスの透明性を提供できている国内CX組織は25%にとどまる現状を指摘。森氏は、顧客への説明責任を果たせる基盤の必要性を訴えた。
続いて登壇したZendesk 最高技術責任者(CTO)のエイドリアン・マクダーモット(Adrian McDermott)氏は、AIが雇用に与える影響についてデータをもとに解説。2023年6月に、OpenAI CEOのサム・アルトマン氏らが予測したAIによる雇用の代替予測に対し、米国のカスタマーサービス求人数は市場平均を約10ポイント上回り、フィリピンでも雇用が拡大している事実を示した。マクダーモット氏は、サービスの利便向上にともない利用総量が増加する「ジェボンズのパラドックス」が生じているとし、自動化率の高まりが新たな問い合わせ需要を喚起していると分析する。
さらに、従来の問い合わせの47%がトラブル対応、28%が付加価値の低いやり取りである点に触れ、定型業務をAIに委ねることで、人間は顧客との関係構築や課題解決に注力できると説明。組織構造についても、従来の階層型から、AIと人間の双方を監督するチームリーダーや、顧客体験とAI設計を統合するAIサービスアーキテクトといった新職種へ移行していく展望を描いているという。
両者の講演では、単なる業務効率化を超えた成長基盤としてのAI活用が強調された。森氏は「Zendeskの『Zen』は日本語の『禅』に由来している。オペレーターが平穏な気持ちで業務に臨み、顧客がより良い体験を得られる『幸せの循環』を広げていきたい」と述べ、現場の負担軽減と体験価値向上を両立させる姿勢を示した。マクダーモット氏は「効率化ではなく成長やイノベーションにAIを集中させた企業は、利益増を達成する可能性が3.6倍高まる」と語り、対応待ちの諦めなどに起因するサービス負債をAIで解消する重要性を指摘する。さらに、チャットボットやLLM(大規模言語モデル)の普及にともない、企業が自社の「信頼できる唯一の情報源」としてナレッジベースを常に正確に保つことが必要になると強調した。
マクダーモット氏は最後に、APAC地域担当のCTOとしてホール・ジョンストン氏が就任したことを紹介し、日本および同地域への継続的な投資とサポート体制の強化を約束して講演を締めくくった。
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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