IDC Japanの発表によると、2014年の国内バーチャルマシン/クラウドシステムソフトウェア市場は、大手企業におけるプライベートクラウドの構築や仮想基盤の拡張、中堅中小企業でのサーバー仮想化の導入増加によって高い成長を達成し、500億円を突破した。同市場の約90%のシェアを持つVMwareが2013年に続いて売上を大きく伸ばし、市場成長を牽引しているという。
国内バーチャルマシン/クラウドシステムソフトウェア市場は2015年以降も2桁成長が続き、2019年に913億円に達すると予測している。これまで市場成長を支えてきたハイパーバイザーに加え、新たにOpenStackに代表されるクラウドシステムソフトウェアの導入が徐々に拡大していくとしている。
また、クライアント仮想化ソフトウェアである国内バーチャルクライアントコンピューティング市場において、プレゼンテーション仮想化を実現するバーチャルユーザーセッション市場が約75%を占めている。2014年は前年比9.6%増の171億8,200万円となり、底堅い成長となったという。
デスクトップ仮想化を実現する統合仮想デスクトップ市場は前年比9.1%増の42億9,600万円となった。2013年は20%以上と高い成長率だったが、2014年は大型案件が少なく、DaaS(Desktop as a Service)の台頭もあり、成長率が鈍化したとしている。
なお、バーチャルユーザーセッション市場、統合仮想デスクトップ市場ともにシトリックス・システムズがシェア1位を獲得している。バーチャルユーザーセッション市場の2014年~2019年のCAGRは6.5%、統合仮想デスクトップ市場は12.5%と予測。今後も統合仮想デスクトップ市場がバーチャルユーザーセッションを上回る成長率で推移していくが、高コストの問題やDaaSへのシフトなど市場成長を阻害する不安要因もあると分析している。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は「仮想化技術はサーバー仮想化のみならず、クライアント仮想化、さらにはストレージ仮想化やネットワーク仮想化にまで適用領域が拡大している。ITサプライヤーは、単なるサーバー仮想化案件に終わらせるのではなく、クライアント仮想化ソリューション、あるいはネットワーク仮想化やストレージ仮想化と合わせてITインフラ全体を仮想化し、Software-Defined Infrastructure(ソフトウェアで定義されたITインフラ)へと発展させていくなど、ITインフラ全体に対して仮想化の効果を最大限に発揮するようなシナリオの提案を行う必要がある」とコメントを寄せている。
今回の発表はIDC Japanが発行したレポート「国内システムソフトウェア市場 2014年の分析と2015年~2019年の予測」にその詳細が報告されている。