IDCが実施した国内エンドユーザー企業向け調査によると、従業員1,000人以上の製造業企業においては、自社にIoT(Internet of Things)を導入済みであると回答した割合は21.4%、2016年度以降導入予定であると回答した企業の割合が32.9%で、製造業の大企業ではIoTの活用が加速していくことが示唆された。
また、中堅中小企業での活用の広がりも見られる。同ユーザー調査では、認知システムについては金融業で特に活用が広がっていることが明らかになっており、産業分野別に先端IT技術の活用状況が異なることが分かる。
一方、小売業においてはカスタマーエクスペリエンス、公共/教育/医療分野においては国の競争力向上というように、テクノロジーの活用よりも、目的に沿った技術活用のあり方に検討の主眼が置かれているため、特定の技術に対して支出が増加しているなどの傾向はなかった。
先端IT活用事例調査では、まずアクア株式会社におけるIoT活用事例について取り上げ、同社が激しい競争環境の中でIoT活用のために社内がどのような変革を実施したかについて分析した。次に、日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会による中小企業におけるクラウドを活用した共同受注システムについて取り上げ、中小企業における先端IT技術活用の可能性について議論している。
どちらのケースにおいても、先端技術を活用して事業成長を実現するためには、単なる技術の導入だけでは不十分であり、経営戦略に組み入れた検討を実施すべきであることを示している。
IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は、「ITサプライヤーは、ユーザー企業のデジタル変革を支えつつ、モビリティ、クラウド分野からIoT、認知システム、ビッグデータ活用へ、デジタル技術全体を経営戦略に統合していく道筋を共同で考えるべきである」と分析している。

今回の発表は、IDCが発行したレポート「2016年 国内IT市場先端IT技術利活用事例調査」にその詳細が報告されている。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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