2016年~2021年の年間平均成長率64.8%で、2021年には6,670億円に
国内IoT向けITサービス市場の2016年の支出額は前年比96.9%増の548億円であり、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)64.8%で成長し、2021年の支出額は6,670億円になる見込みだ。
現在、国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた中核技術の1つとして、IoTの活用が急速に進みつつあるとIDCではみている。こうしたIoTの活用(導入/運用)をIT領域で支援するのがIoT向けITサービスになる。今回IDCでは、ITサービス市場に含まれるIoT向けサービスの支出額規模を「IoT向けITサービス市場」として予測を行った。
具体的には、IoT向けのプロジェクトベース(SIやカスタムソフトウェア開発、ITコンサルティングなど)、テクノロジーアウトソーシング(ITインフラストラクチャやアプリケーションの運用など)、サポート&トレーニング(ハードウェア/ソフトウェアの保守やIT教育など)といった市場が対象となっている。
2016年時点では、IoT向けITサービス市場はいまだ黎明期にあり、ITコンサルティングやSIなどの、IoTの導入支援を行うプロジェクトベースのサービスが中心となっている。産業分野別では、組立製造業を中心とする製造業や公共分野などの、いわゆるインダストリアルIoT領域におけるITサービス支出額が多くなっている。また、その支出額は、非IT領域を含むIoTサービス市場全体と比較すると小規模にとどまっている。
IoT向けITサービス市場がそれ以外のIoTサービス市場を大きく上回る成長
しかし成長率の観点では、予測期間にわたり、IoT向けITサービス市場がITサービス以外のIoTサービス市場を大きく上回る成長率で拡大するとIDCではみている。2016年までに実施された多数のPoC(Proof of Concept)案件から本格的なSI案件化が進むことや、ERP(Enterprise Resource Planning)や生産管理システムなどの基幹系ITシステムとの連携の拡大、製造業以外の産業分野における新たなビジネス創出に伴うIoT向けITサービス需要の拡大といったさまざまな要因により、予測期間の後半においても、前年比50%を超える高い成長率で市場が拡大すると予測している。
さらにIDCでは、予測期間の後半にかけて、IoT活用の支援サービスにとどまらず、製品や設備のas a Service型での提供など、IoTを活用した業務サービス自体を提供するサービスモデルが大幅に増加するとみている。こうした新たなユースケースにおける業務サービスと、それを生み出し提供するための支援サービスであるIoT向けITサービスが、IoTサービス市場全体の成長をけん引すると予測している。
IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストの植村卓弥氏は「IoT向けサービス事業者は、IoTの価値最大化のために重要となる部門/企業/産業を横断するデータ活用において、その連携を支援し、企業/産業のバリューチェーンをつなぐ役割を果たすことが求められる。加えて、中長期的にIoTサービス市場をけん引するであろうIoTを活用した業務サービスの拡大に向け、顧客支援だけではなく、自らがプレイヤーとして新たなユースケースを創出して行く姿勢が必要になる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内IoT向けITサービス市場予測、2017年~2021年:サービス事業者にとっての市場機会とは」にその詳細が報告されている。