「国内金融IT市場動向調査2017」は、金融業におけるIT投資動向「IT投資動向調査編」と主要なITサービス分野の市場シェアをまとめた「ベンダー市場調査編」からなり、前者は国内企業を対象に実施した「IT投資動向調査2017」から金融業での調査結果を、後者は44の製品・サービス分野を対象とし主にベンダーへのヒヤリング調査などからITRが推計した金融業における市場規模推移とベンダーシェアを掲載している。レポートのハイライトは次のとおり。
2016年度の金融業IT予算比率は6.1%。業種別では「銀行」が7.4%
金融業における2016年度の売上高に対するIT予算比率は、金融全体平均では6.1%となった。金融業種別では、「銀行」(7.4%)が最も高く、次いで「証券」(7.2%)といずれも7%の高水準となり、これら2業種が金融全体平均を押し上げている。改めて、「銀行」の積極的なIT投資が明らかになったといえる。
3割強が2017年度のIT予算の増加を予想
2016年度(2016年4月~2017年3月)のIT予算は、前年度から「横ばい」とする企業の割合は59.0%最も多く、全体の約6割となった。「増額」とした金融業の割合が3割弱となる一方、「減額」とした企業の割合は1割にとどまった。
2017年度(2017年4月~2018年3月)予想では、2016年度に引き続き「横ばい」とする割合が最も多くなったが、その割合は約3ポイント減少した。一方、IT予算を増加すると予想した割合は全体の3割強となり、「10%~20%未満の増加」(10.4%)と「10%未満の増加」(18.3%)を予想する企業の割合が高くなり、2016年度同様に増加が減少(13.2%)を大きく上回った。減少を予想する企業の割合(13.2%)は2016年度よりも高くなったものの、「20%以上の減少」(0.4%)は1.2ポイント低くなっている。
2017年度に向けて金融業が最重要視するIT課題は「IT基盤の統合・再構築」
全20項目の主要なIT動向を取り上げ、金融業においてその重要度を尋ねた結果では、「IT基盤の統合・再構築」が81.3%と唯一80%を超えるポイントで最上位となった。「マイナンバー制度への対応」は、現在の実施率が最も高く、3年後の実施率予想は2番目となる。さらに、重要度指数でも4番目と高い順位になっていることから、制度対応として喫緊の取り組みが必要であることがうかがえる。