ベンダー別売上額シェアトップは53.8%の富士ゼロックス
MPSは、企業のオフィス出力環境の現状を分析した上で、最適な出力環境を構築、その環境を継続的に維持/運用していくアウトソーシングサービス。MPS導入によって、出力環境に関するTCO(Total Cost of Ownership)の把握/削減、出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減といった効果を期待することができる。
MPSは、欧米諸国を中心に市場が拡大しており、全社レベルでプリント環境のコスト削減、業務効率化、環境負荷低減に取り組む企業を中心に、国内でも導入が進んできている。2016年の国内MPS市場の売上額は604億4,000万円で、前年比9.9%の増加だった。
2016年の国内MPS市場のベンダー別売上額シェアは、富士ゼロックス53.8%、リコー23.2%、キヤノン12.9%、日本HP(HP Inc.)3.1%、その他のベンダー7.0%でした。昨年に続いて、2015年も富士ゼロックスがシェア1位を維持している。
上位ベンダーのシェアに大きな変化はなかったが、富士ゼロックス、リコーがわずかにシェアを落とす中で、キヤノン、東芝テックなどがシェアを伸ばしている。キヤノンや東芝テックは、MPSに加えて幅広い業務ソリューションを提供し始めている。こうした活動がシェアの拡大に貢献したとIDCでは考えている。
MPSに加えて付加価値ソリューション提供の動きが広がる
2016年、一部のベンダーに、MPSで培った顧客との強固な関係をベースに、自社の持つ多様なソリューションを提供する動きが見られた。グローバルレベルでMPS導入後の付加価値提供に苦しむベンダーが多い中で、MPSの普及が遅れていると言われていた国内市場において、こうした新たな動きが出てきたことは注目に値する。
IDCでは、今後国内市場において、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術といった第3のプラットフォームの普及を前提とした、ビジネスモデルの転換があらゆる産業分野で起こると予測している。こうした変革は、デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれている。IDCでは、今後MPSベンダーには、MPSで構築した強固な顧客関係の下で、DX関連ソリューションを積極的に提供し、顧客のDX対応のスピードアップを支援することが期待されると考えている。
IDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は「2016年、国内MPS市場のシェアに大きな変化はなかった。しかしながら、MPSに加えて高度なソリューションを提供するベンダーが出始めたことは大きな変化であり、今後の市場シェアに影響を与える可能性がある」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内マネージドプリントサービス市場シェア、2016年:ベンダーのグローバル戦略と国内戦略」に掲載されている。