自社業務に適合したワークスペース戦略を検討する時期に来ている
クライアント仮想化の導入を検討している企業(550名)においても、そのうち36.4%のユーザー企業が、ワークスペースを検討している。ユーザー企業は、それぞれの業務に適合したワークスペース戦略を検討する時期に来ているとIDCではみている。さらに、今回の調査対象者全員のうち約4割が、「Windows10 VDI DaaS on Azure」「電子サインの仮想技術の実装」「クラウドページング」など次世代のテクノロジーに対し関心を示している。
ワークスタイル変革の実施状況は、まだ3割程だが、「必要性なし」とする企業はわずか1割、「実施後断念」した企業はわずか3%のみとなっている。「大企業」および「金融」「情報サービス」「製造業」などで実施されている割合が高くなっている。一方、IT系のベンチャー企業などの多くは、働き方を能力の高い従業員に委ねている例も多く、柔軟な働き方と責任/結果は深く結び付いているとIDCでは考えている。
「硬直化した人事組織」を課題とする従業員は35.7%にのぼる
今回の調査では会社内の組織や人材についても、その課題と現象を分析している。一例をあげると、「硬直化した人事組織」を課題として捉えている従業員(参考資料グラフでは「エンドユーザー」と表記)の割合は、35.7%にのぼる。また「ワークスタイル変革に取り組めない人事/就業規定」「IT部門と事業部門との間のコミュニケーション不足」などが、共通する課題としてあげられる。
一方で、「CIOと業務改革責任者などの連携が良好である」と回答したエンドユーザーの割合も30.0%にのぼり、課題を抱える企業は多い中、徐々にワークスタイル変革にうまく取り組めている企業が一定数いると考えられる。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである渋谷寛氏は「クライアント仮想化導入済み企業の約半数が、ワークスペースを導入している。自社業務に適合したワークスペース戦略を検討する時期に来ている。デジタルトランスフォーメーション(DX)時代を迎え、ワークソースに課題を抱える企業は、組織デザインや部門間のさらなるリレーションが求められている。特に従業員は柔軟な組織を、IT部門は正当な評価を望んでいる」と述べている。
今回の発表はIDCが発行した「2017年 国内クライアント仮想化市場 ユーザー動向分析調査:DXにおけるクライアント仮想化の役割」にその詳細が報告されている。