タブレットやポータブルPCなどは9~13インチの製品の成長率が高まる
国内エンタープライズデバイス市場の2016年~2021年出荷台数の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は、2.5%と予測している。また各機器の同CAGRは、スマートフォンが6.5%、タブレットが1.9%、ポータブルPCが0.3%と、それぞれプラス成長と予測している。
この中でもスマートフォンの成長率が最も高いと予測している。これは独自OSを搭載した従来型携帯電話の主要部品供給が終焉に向かうことから、2017年以降スマートフォンへの置き換えが急速に進むと考えられるためだ。これまで法人向けスマートフォンは、利用料金が高いことが障害となっていたが、Androidベースの携帯電話型スマートフォンに変更した場合でも、利用料金に大きな差がないことから、企業でのスマートフォンへの切り替えが進むとみている。
画面サイズ別に市場を見た場合、スマートフォンのビジネス市場における成長率の高さから、Small Screenサイズ(5~8インチクラス)の製品のCAGRが最も高く、次いでUltra-Small Screenサイズ(5インチ未満)の製品の成長が高くなると予測している。
次に成長率が高いサイズは、タブレットおよびポータブルPCのMiddle Screenサイズ(9~13インチクラス)と予測している。このサイズは、データ編集を効率的に行うために最低限必要なスクリーンサイズであり、「働き方改革」などの進行でモビリティ性が選好され、Large Screenサイズ(14インチ以上)よりも需要が高まるとみている。
Windowsは2020年以降50%以下の構成比になると予測
エンタープライズデバイス市場の主なOSは、PCを中心としたWindowsであり、2016年での同市場の中での構成比は約56%。しかしながら2020年以降は、Windows 7 EOS(End of Support)の反動からPCの出荷が減少すること、また従来の携帯電話端末(フィーチャーフォンなど)からの切り替えによって、スマートフォンの出荷が好調に推移することなどから、2020年以降のWindowsの構成比は50%以下になると予測される。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は「政府によって、「働き方改革」の実現が企業に求められている。これを実現するいくつかの方策の中で、在宅勤務やフリーアドレスなどの導入が考えられ、モビリティ端末の利用が重要な要素となる。ベンダーは各企業の勤務形態に合わせて、ハードウェアを組み合わせた提案に加え、社外でも社内と同様に仕事ができるソリューションの提供も必要である」と述べている。
今回の発表はIDCが発行した「国内エンタープライズモビリティ市場予測、2017年~2021年:ハードウェア分野」にその詳細が報告されている。