2017年、金融分野の第3のプラットフォーム市場は9,286億円、前年比成長率6.9%
発表によると、2017年の国内第3のプラットフォーム市場の金融分野のIT支出規模は、9,286億円、前年比成長率は6.9%と予測している。銀行、保険、証券/その他金融サービスの各分野で堅調に拡大を見込んでいるが、その中でも特に保険では、ビッグデータ/アナリティクスを中心に積極的な投資が進むとみている。なお、ソリューションでは、現在モバイル関連支出が主に牽引しているが、これからは大手金融機関で取り組みが加速しているクラウド、ビッグデータ/アナリティクス関連の支出が徐々に拡大するとみている。
国内金融機関では、第3のプラットフォームと同様にFinTech(Financial Technology:ITを活用した新しい金融関連サービス)ソリューションの提供、活用のため、スタートアップ企業と連携、自社/自行で開発する金融機関も増加している。現時点では、検証段階に留まっている金融機関が多いものの、2017年以降、本格的にソリューションを提供するケースが増えるとみている。なお、国内金融機関のFinTechの取り組みによって自社/自行の他システム、他の産業分野の企業のシステムにも影響が及びつつある。
「FinTechエコシステム」関連IT支出額、2021年には1,179億円に拡大
今回、国内金融機関、および他の産業分野の企業を含めてFinTechソリューション展開によって影響を受ける範囲を「FinTechエコシステム」として分析した。国内における「FinTechエコシステム」関連IT支出額は、2017年に196億円、2021年には1,179億円に拡大するとみている。2018年までは金融機関のFinTech投資が全体を牽引するが、2019年以降は、国内金融機関の関連システム(勘定系システム、顧客管理システムなど)の投資、並びに他の産業分野の企業におけるFinTech関連投資といった関連分野の投資が牽引するとみている。
国内金融機関の多くで、新たなビジネス創出、商品/サービス強化を目的に新たなIT利活用を模索しており、特にFinTechソリューションの提供、利用が本格化するとみている。さらに金融機関に留まらず、スタートアップ企業、他の産業分野を含む「FinTechエコシステム」が構築され、多くの企業の業務/システムに効果が波及するとみている。
IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は「ITサプライヤーは、金融機関を中心とした『FinTechエコシステム』構築に向けて積極的に支援することが今後の金融機関向けビジネス拡大に重要になる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「2017年 国内の金融分野における第3のプラットフォーム需要動向調査」に掲載されている。レポートでは、国内金融機関における第3のプラットフォーム支出額の2017年~2021年の予測、および国内金融機関のFinTechの取り組みを見ていくと同時に、FinTech関連の金融機関、および他の産業分野の企業を含めたIT支出額の予測も提供している。加えて、先進的な金融機関のケーススタディも提供している。