RPAとは、従来まで人間のみが対応可能と考えられてきたコンピュータ操作をソフトウェア(ソフトウェアロボット)に代行させることで業務の自動化を支援する製品であり、繰り返しの多い定型業務の高速化や人為ミスの削減、人手不足の解消などの効果が期待されている。
2010年代半ば以降、金融・保険業など一部の業種で採用が進んでいたが、近年、働き方改革に対する関心の高まりや参入ベンダーの拡大、IT知識の乏しい現場スタッフでも利用できるロボット開発環境の登場などにより、導入意欲は他業種でも急速に高まっている。今後はAIシステムとの連携が進み、より高度な自動化が実現されることが見込まれる。
2016年度の売上金額は8億円、前年度比4倍増と急速な伸びを示した。2017年度も同2.5倍増と引き続き高い伸びを予測している。また、2018年度には2016年度の5倍強となる44億円、2021年度には同10倍強となる82億円と、今後も継続的な伸びが見込まれることから、CAGR(2016~2021年度)は59.3%を予測している。
ITRの取締役/シニア・アナリストである舘野真人氏は、「かつては一部の定型業務に限って利用されてきたRPAですが、労働人口の減少、働き方改革やAIの活用に対する関心の高まりなどにより、多様な業種・業態で導入が検討されるようになりました。とりわけ2017年度に入ってからは、製品の選択肢が拡大したことで、試験導入に踏み切る企業が急増しています。今後、先行導入企業の成果が広く知られるようになれば、導入意欲はさらに増進する可能性があります。企業の導入推進者は、RPAに適した業務の抽出に取り組む一方、将来の大規模導入に備えたガバナンスや管理の枠組みを構想することが求められます」とコメントしている。
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート「ITR Market View:AI/RPA市場2017」に詳細を掲載している。同レポートには、AI/RPA市場の全5分野を対象に、国内40ベンダーへの調査に基づいた2015~2016年度売上げ実績および2021年度までの売上げ予測を掲載している。