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ありのまま話すぜ! Oracle CloudのOracle Databaseを使うメリット/デメリット《後編》

クラウド自体の速さとシステムの見かけ上の速さは異なる

谷川:Oracle Cloudを使ったソリューションに詳しい岸和田さんに、クラウド上でOracle Databaseを使う際の性能面の課題や、運用に対する考え方を伺いたいと思います。一般に、「オンプレミスで運用しているものをクラウドに移行したらパフォーマンスが落ちる」と思われがちですが、それについてはどうでしょう。

岸和田:当社でOracle Cloudとオンプレミスの性能比較テストをしたところ、実はクラウドの方が速かったんです。しかし、実際にはネットワークの部分でレイテンシ(遅延)が発生するため、トータルで見ると「クラウドの方が遅い」となってしまう。ユーザーが手元にある端末のブラウザから、クラウド上にあるアプリケーションにアクセスした場合、オンプレミスの時より遠くにあるクラウドのデータセンターと通信するため、結果としてどうしても遅くなります。一つの課題ですね。

谷川:クラウド上で完結している部分はクラウドの方が速いが、実際に業務ソリューションとして使用する場合には、そういう問題が発生してしまうわけですね。

谷川 耕一氏
谷川 耕一氏(たにかわ こういち)氏
EnterpriseZine/DB Onlineチーフキュレーター。
ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。

岸和田:厳格にレスポンスだけを計測すればそうなります。しかし、オンプレミスからクラウドに移行した場合、以前に構築した古いシステムが、クラウド上の最新の環境に変わることになります。DBの性能は向上することが期待できますので、アプリケーションを利用するユーザー視点で評価することが大切だと思います。

多彩な用途や応用の可能性を秘めたクラウドの将来に向けて

谷川:Oracle Databaseの Standard Edition(SE)およびStandard Edition One(SE1)がOracle Standard Edition 2(SE2)に一本化されたことで、「SE/SE1の、この先をどうするか?」に注目が集まっています。「SEからの乗り換え先としてのOracle Cloud」というのは、あり得るでしょうか。

田村:可能性はあると思います。岸和田さんが話されたレイテンシの問題ですが、Oracle Cloudの“お試し”の時にWebサーバーを自社のネットワーク上に置いてテストしたところ、非常に遅くてこれはだめだとなりました。そこで今度は同じサーバーをIaaS上に置いてみた結果、解決できたのです。この時はまだ米国リージョンのデータセンターでしたが、先ごろ、日本リージョンも新たに設置されたということで、一層のパフォーマンス向上を期待しているところです。

谷川:もう一つ、いろいろなテストを行う環境としてクラウドを活用するのはどうですか。現代のデータベースはメモリに余裕を持たせると飛躍的にパフォーマンスが向上しますが、テストのためにそれだけのハードウェアを用意するのは難しい。その点クラウドなら、必要な時にすぐ環境を用意できて、使い終わればすぐに手放せます。この特長をテスト環境に利用すれば、開発の効率化とコスト抑制の両面でかなり有効だと思うのですが。

岸和田:従量制の課金メニューを選んで、オンプレミスのキャパシティをOracle Cloud上でシミュレーション計測するといった使い方などはいいかもしれません。もちろん、本当のオンプレミス環境と同じ計測値は出ませんが、開発前にある程度のあたりをつける参考値には十分使えると思います。

谷川:あと、現実的に可能かどうかわかりませんが、普段はオンプレミスで運用し、ピーク時にクラウドにリソースをシフトするといった、柔軟で迅速なデータベース拡張なども考えられますか。たとえば、処理が重くなる月末のバッチ処理だけクラウドに上げるといった使い方です。

山本氏:災害対策や、開発環境をクラウドへオフロードするというユースケースは一般的です。オンプレミスとクラウドでデータを常時同期させておいて、開発の方だけをリソースの自由度の高いクラウドでやるとか。ただし、同一の処理を分散するといった使い方だと、データのパーティショニングの問題などがあって、これからのユースケースかとは思います。

山本 祐介氏
山本 祐介(やまもと ゆうすけ)氏
日本オラクル株式会社 クラウドプラットフォームソリューション統括 Cloud Platformビジネス推進本部
エンジニアとしてお客様への技術提案を担当した後、データベースを中心としたビジネス推進を担当。現在は、Oracle Cloud Platformのビジネス推進を行う。

谷川:そうした可能性の一方で、クラウドにはきちんと定義などを詰めて標準化していくべき部分も多く残っています。たとえば、データベースの可用性一つとっても、オンプレミスの場合は厳格に定義されていますが、クラウドは割とひとくくりで考えられている節があります。ここをもっとベンダーやSI企業の側からお客様に丁寧に説明していくことが、より適切で効果的なクラウドの活用につながるのではないでしょうか。

山本:ご指摘の通り、可用性の種類にもサーバー障害やデータ障害などいろいろなケースがあります。たとえば、データ障害だと、オンプレミスの場合はお客様の運用状況によって原因も障害のレベルもまちまちですが、クラウドの場合は、クラウドベンダーが担保している部分もありますし、また障害の種類によっては、クラウドの機能で自動的に対応できるのも良いところです。私たちベンダーとしても、お客様の貴重なデータベースをクラウドに移行していただくメリットとして、積極的にお伝えしていきたいと考えています。

谷川:ユーザーにもシステム提案をするSI企業側にもクラウドはまだまだ未知数ですが、この座談会で挙げられた課題について真摯に取り組んでいくことで、さらに大きなメリットやソリューション開発の可能性が生まれてくるのは間違いありませんね。本日は、貴重なお話をありがとうございました。

クラウドの時代になってもデータベースはコンピュータシステムの核としてエンジニアの関心の的。今回の座談会に参加したエキスパートの尽きない議論がそのことを改めて教えてくれた
クラウドの時代になってもデータベースはコンピュータシステムの核としてエンジニアの関心の的。今回の座談会に参加したエキスパートの尽きない議論がそのことを改めて教えてくれた。ちなみにこの座談会は、日本オラクル本社が入っているオラクル青山センター22階のカフェテリアで行われた。

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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