DX時代の行動様式は「PDCAからOODA」、「モード1からモード2」
「参加者の皆さんの中には、デジタル・トランスフォーメーションという言葉にわかりにくさや疑問を感じる人も多いだろう。今日はあらためてこの言葉の意味から議論をしていきたい」、こう切り出した司会の田口氏。事前の打合せはほとんどおこなわなかったと言う。メンバー全員が「語りだせば止まらない人たち」(田口氏)で、あらかじめのシナリオに収束させるのは無理ということだろう。
まず初めに、この日の内山氏と小野氏の基調講演の内容のふり返りが行なわれた。内山氏によれば、DXとは「デジタル化によって産業に変革が生じ、それによって新たな価値が生まれること」であり「後戻り出来ないもの」だという。ディスラプション(破壊的変化)が様々な業界で進行し、新たなプラットフォーマーが台頭してくる。こうした時代にはITへの取り組みも、従来のROIに縛られない新しい発想が必要と述べ、「PDCAからOODAへ」という行動様式を紹介した。「OODA」とは監視(Observe)、情勢判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)というサイクルを回すことだ。
内山氏と小野氏が共通して語ったのは、デジタル化によるITシステムの変化だ。従来の「SoR」(System of Record)から「SoE」(System of Engagement)へと、ITの仕組みが変化している。小野氏は、この変化を「モード1」から「モード2」へのシフトという言葉で整理した。そして、今後はこの2つのギャップを埋める「バイモーダルな価値観が必要」と述べた。
変わってこのパネルから登壇したアマゾンウェブサービスジャパン(以下AWS)の亀田氏が自己紹介を行なった。亀田氏は「ガンダム、焼酎、暗号解読」が趣味。営業職としてのAWSの面接では「MySQLのフェールオーバー」について聞かれたと言う。AWSにはこういうテッキーな人が、ごまんといるらしい。そんな「モード2の代表企業」としてDXをどう捉えるかと田口氏は聞いた。
「DXの特長は、大きなものが小さいものをどんどん飲み込んでいくこと。すべての人が強力な情報端末を常に持ち歩いている時代、従来と違って簡単に情報が入手でき、より高速なものやより口コミで評判の良かった情報が一瞬でどんどん流れていく。広告やマーケティングの手法も古いやり方はどんどん一掃されていき、今やソーシャルに入ってくる情報の方が価値を生んでいる。時代に則さないユーザーインターフェースの会社はどんどんユーザが減っていき、比較の俎上にすら乗らない」(亀田氏)