自前でPaaSを持つPivotal Cloud Foundryでマルチクラウドやハイブリッドクラウドが現実のものになる
Amazon Web Services(AWS)でもMicrosoft Azureでも、最近ニュースとして取り上げられるのは新たなPaaSの提供の話題が多い。ユーザーもIaaSだけでなく、PaaSも使うようになってきている。IaaSは比較的乗り換えも容易だが、PaaSとなるとそうはいかない。便利なPaaSであればあるほどベンダー特有の仕様などもあり、別のPaaSに乗り換えるのは簡単ではない。ある意味、PaaSをどっぷり利用してしまうと、それは究極のベンダーロックインになりかねないだろう。
そうならずにPaaSのメリットを享受するには、Cloud Foundryのようなプラットフォームサービスを独自に導入する方法がある。Pivotal ジャパン カントリーマネージャーの正井拓己氏によれば、「Pivotal Cloud Foundryは、プラットフォームのソフトウェアです。ITの運用効率を上げるだけでなく、開発者の開発生産性を向上することができます」と言う。さらにITを使ったサービスの安定性につながる高可用性の機能も備えていると。Pivotal Cloud Foundryはすでにグローバルの大企業を中心に利用されており、日本においてもインターネットサービスを提供している企業のみならず、さまざまな業種、業態のリーダー企業が使い始めている。
Pivotal Cloud Foundryの顧客は年々日本でも増加しており、昨年末時点で前年比1.5倍のビジネス規模となっている。顧客の拡大は、新規顧客の獲得もあれば既存顧客のライセンス規模の拡大もある。そしてPivotal Cloud Foundryを、日本でもフルスケールで利用する顧客が出てきている。「アプリケーション・インスタンスが5,000を超えるようなところもあります。ミッションクリティカルなシステムにも使われています」と正井氏。
Pivotal Cloud Foundryの利用は、当初はテクノロジー企業やインターネットサービスの企業から始まった。それが現在は、エンタープライズな企業に拡大している。利用の拡大としては、企業の一部門でプロトタイプやトライアルで始まり、そこから全社のIT基盤へと展開する動きがある。さらに、グローバルでサービスなどを展開する際のプラットフォームにもなっている。Pivotal Cloud Foundryは、フィンテックやIoTなどの新しい多様化するクラウドのワークロードを統合化するのに良く使われる。「Pivotal Cloud Foundryは、部門横断的なデジタルサービスを支えるプラットフォームとして使われています」と正井氏。もちろん既存アプリケーションのワークロードの統合化にも利用されているとも言う。
多くの場合、Pivotal Cloud Foundryを顧客が導入する際には、製品だけでなくコンサルティングサービスなども合わせて提供することになる。これに関してはPivotalだけで日本市場において十分なサービスが提供できるわけではない。そこで、積極的なパートナーとの協業も行う。2017年に独自のパートナープログラムである「Business Partner Ecosystem」を立ち上げ、すでにTISやNTTデータとパートナー契約結んだことを発表している。他のパートナーとの契約も進んでおり、パートナーとの協業はSI企業、コンサルティング会社、ISVなどへとさらに拡大していくことになる。
前述のように、Pivotal Cloud Foundryを導入するというのは、自前のPaaS環境を持つようなものだ。なので、現状ではIT部門にそれなりの体力のある企業でなければ導入、運用は難しいだろう。もちろん導入して運用を楽にするための機能は、Pivotalが提供はしている。それらに加えPivotalにはもう1つ、アジャイル開発の組織を企業内に構築することをサポートするPivotal Labsの活動もある。これを使って企業内にアジャイル開発組織を作ることは、自前のPaaS環境の効果を最大化することにつながる。