
前回、日本企業のクラウドサービス(本稿ではクラウド、クラウドコンピューティング、クラウドサービス等を総称しクラウドサービスと記述する)の導入状況について紹介しました。しかしながら、クラウドサービスという言葉が広く使用されるようになり、クラウドサービスの利用が拡大している現在でも、利用については多くの企業が依然として不安を抱いている状況があります。今回はそもそもクラウドサービスとはどのようなものであり、どのような特徴があるのか、また、企業がクラウドサービスに対して抱いている不安が正しいものであるのかを説明します。
そもそも、クラウドサービスとは?
「クラウド」、「クラウドコンピューティング」、「クラウドサービス」等、様々な呼称が存在するものの、今やクラウドサービスという言葉・サービスはITに関連した業務に従事していない人にもなじみがあるものであり、一般的になったと言っても差支えないと思われます。
しかしながら、クラウドサービスとはそもそもどのようなサービスなのでしょうか? 各種の団体や省庁がクラウドサービスの定義を行っていますが、そのような定義も踏まえてクラウドサービスを一言で表せば、次のようになると考えます。
サービス利用者がネットワーク経由でクラウドサービスに接続可能な環境さえあれば、「どこで」、「どのように」サービスが提供されているかを意識することなく、必要な時に、必要な量のサービスが利用可能なもの
それゆえに、ビジネスでクラウドサービスを利用する際には、オンプレミスと比較して、以下のようなメリットがあることが知られています。

表1:クラウドサービスとオンプレミスの比較
一方で「どこで」、「どのように」サービスが提供されているか意識する必要がない故に、オンプレミスのシステムを利用していた際には、自明あるいは社内に問い合わせれば識別可能であった、以下のような情報がクラウドサービスを利用する際には分からない可能性があります。

表2:オンプレミスでは識別可能な情報
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- この記事の著者
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村杉 達彦(ムラスギ タツヒコ)
KPMGコンサルティング株式会社 マネジャー
国内システムインテグレーターにてwebシステムの開発に従事したのち、監査法人系ファームおよび同監査法人にて、会計監査の一環としてのシステム監査、各種保証業務の他、金融機関に対してのシステムリスク管理態勢の評価、インターネットバンキングに対するセキュリティレ...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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