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週刊DBオンライン 谷川耕一

狭いAIと広いAI/エンタープライズ領域でWatsonを活用するためにIBMがこだわっていること

 先日米国で開催されたIBMの年次イベント「IBM THINK 2018」、その場ではもちろんAI技術でもあるWatsonの話題も数多く出た。その際にIBMが強調したのが、コンシューマ向けのAIのサービスと企業向けのエンタープライズなAIには違いがあるということだ。

狭いAIと広いAI

IBM Cognitive Solution & Research シニア・バイスプレジデント ジョン・ケリー氏
IBM
Cognitive Solution & Research
シニア・バイスプレジデント
ジョン・ケリー氏

 THINK 2018のAIに関する基調講演に登場したCognitive Solution & Research シニア・バイスプレジデントのジョン・ケリー氏によれば、AIには「狭いAI」と「広いAI」があるという。

 「画像や音声の認識は、AIとしては簡単なものです。これは今や、誰でもでき、狭いAIと言えるでしょう。一方で中身はブラックボックスかもしれませんが、”何でも知っている”AIがあります。これは多くのAI研究が、目指している世界でもあります」(ケリー氏)

 この”何でも知っている”AIは、広いAIと呼ばれる。その実現には、まだまだ時間と手間がかかるものだろう。この広いAIの実現に向け、今後の20から30年ほどの間で、かなり興味深い進化が訪れそうだともケリー氏。

 ところで効果的にAI技術を活用するには、人々が実施しているプロセスにきちんとそれが関与できていなければならない。そして人は、AI技術で実現されているマシンがどのように判断するかを考える必要がある。その上でマシンは、人間を教師として学ばなければならない。人はそうやって生まれるマシンが、物事の判断が可能なものだと信頼する必要もある。これは人とマシンの間で、どちらかがどちらかに対し一方的に依存するのではなく、互いに信頼関係を築くこととも言えるかもしれない。

 現状、既にAI技術がさまざまな業界で実際に使われつつある。たとえば流通業界のプロセスの最適化をAIが行っている。さらに石油などの資源開発をサポートし、ヘルスケアの分野でもさまざまなシーンで人々の判断のサポートをしている。それぞれのシーンでAI技術が活用されることで、コスト削減にもつながっている。そのためのAI技術やサービスを、IBMではソフトウェアとしてあるいはIBM Cloudで提供している。

 「デバイスに組み込まれたり、パブリックのクラウドでサービス提供されたりと、さまざまな形でAIの技術を提供しています。どのような形でAIを実装するかにかかわらず、IBMはAIのシステムの完全なリーダーでありたいと考えています」(ケリー氏)

 この業界で実際に使われ始めたAIは、広いAIの1つとも言えそうだ。何でも知っているわけではないが、その業界の課題解決を幅広くサポートできるものになっているのだ。

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3層構造のモデルでWatsonでは企業独自のノウハウの流用は一切しない

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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