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Oracle Cloud徹底比較!ーアシストからの提言

 世界中から優良なパッケージ・ソフトウェアを発掘し、それを使い顧客のさまざまなIT課題を解決するのがアシストだ。ソフトウェアメーカーでもなければシステム・インテグレーターでもなく、アシストは自らをパッケージ・インテグレーターと称している。そんなアシストには、顧客からさまざまな相談が持ちかけられる。相談の中で最近多いのが、ITの専門家としてクラウドサービスを第三者の目で評価して欲しいというものだ。今回はアシストの関氏にOracle Cloudと他のサービスの比較をしていただいた。 (写真撮影:宇壽山貴久子)

Oracle Cloudの柔軟で幅広い課金体系

 日本法人が設立される前からOracle Databaseを国内で取り扱ってきたアシスト。当然ながらOracle製品について、長い経験と豊富な知見を持っている。

「アシストではさまざまなクラウドサービスを活用していますが、Oracle Cloudもかなり使い込んでいます。既に2015年からさまざまなシーンで利用しており、たとえばセミナーで参加者に触ってもらうハンズオン環境もOracle Cloudです」と語るのは、株式会社アシスト データベース技術本部 データベース・エバンジェリストの関 俊洋氏だ。

株式会社アシスト データベース技術本部 データベース・エバンジェリストの関 俊洋氏
株式会社アシスト
データベース技術本部 データベース・エバンジェリスト
関 俊洋氏

 クラウドサービスとしては後発なOracle Cloudには、パブリックだけでなくプライベートもあるところが大きな特長。まだまだ発展途上のところもあり、サービスの拡張は頻繁に行われているのが現状だ。 Oracle Cloudで1つ注意すべき点として、関氏は「今の国内データセンターと北米データセンターではかなりサービス内容が異なる点」を挙げる。
 またデータベース関連サービスが、小規模なものから大規模なものまで豊富にあるのも特長。

「課金体系は、従量制はもちろん定額制、さらにはユニバーサルクレジットと柔軟で幅広く、従来のOracle製品に慣れたアシストの営業でも見積もりに苦労しています」。

 Oracle Cloudのサービス提供が本格化した2015年時点だと、提供されているサービスの数も提供されている地域も先行するA社やB社などには及ばず「惨敗」状況だった。それから2年ほどが経過し、一気にサービスは増強されている。データセンターの数は2015年から2倍以上に増え、サービスの種類、数もかなり拡充した。その上で、Oracleが注力しているのが可用性だ。

料金体系
料金体系

「顧客から必ず聞かれるのがSLAです。他のクラウドサービスでは99.95%程度のものが多いのですが、Oracle Cloudも同等かそれよりも高いものがあります。結果的にクラウドサービスの全体感としては、他のクラウドサービスと比べてもOracle Cloudも遜色ないものに進化しつつあります」(関氏)。

SLA
SLA

 もう1つ顧客が気になるのが、価格だろう。前述したようにOracleにはユニークな定額制があり「これは日本の商習慣にも合っていて、選択しやすい企業も多いのでは」と関氏。もう1つ実際に見積もりをするとOracle Cloudがコスト的に優位となるのが、サポートサービスの追加料金が発生しない点だという。

「他のクラウドでは、エンタープライズ向け、開発者向けなどサポートサービスが別途選択できるようになっていて、それぞれに費用が発生します。これらのサポートサービスまで入れて比較すると、IaaSの利用料が多少高くても全体のOracle Cloudの見積価格が安くなることがあります」(関氏)

 またIaaSの構成でも、Oracle Cloudには他とは違うところがある。それがCPUの数え方だ。

「Oracle Cloudでは、OCPUという単位で1 OCPUには1つの物理コア相当のキャパシティが割り当てられます。一方、他のクラウドサービスでは、仮想コアで数えるのが普通です。たとえばOracle Cloudの2 OCPUは、ハイパースレッドをオンにすれば4つの仮想コアに見えることになります」(関氏)

CPUの考え方
CPUの考え方

 そのため同じ2コアという表現でも、Oracle Cloudと他のクラウドではスペックが変わる。このコア数の考え方は、Oracle Databaseのライセンスコストにも関わってくるので、クラウド選択では重要なポイントとなる。必要なスペックに対するコア数を正しく比較することが、クラウド用コストを正確に把握することにつながるのだ。

ストレージ性能が良いOracle Cloudはデータベースを動かすのが得意

 関氏がもう1つOracle Cloudの特長として挙げたのが、ストレージのサービスがデータベース向きということだ。

「他のクラウドがどちらかと言えばお金を払った分だけストレージのIOPS性能を提供するとなっているのに対し、Oracle Cloudではストレージ容量に応じIOPSが増えるようになっています」(関氏)

ブロック・ストレージの基本機能
ブロック・ストレージの基本機能

 この容量に応じIOPSの増える割合が、かなり大きいというのが他と異なる点だ。たとえばOracle Cloudのストレージでは、容量100ギガバイトを選べば6,000IOPSとなり、ボリューム当たり最大25,000IOPSまでリニアにスケールしていく。このように1ギガバイト当たり60IOPS増えるのに対し、他のクラウドのストレージサービスでは1ギガバイト当たり3IOPS程度しか増えないものも多く、高いIOPSが欲しければコストを追加して「IOPSを買う」ことになるわけだ。

「Oracle Cloudのストレージは、容量を割り当てれば当てただけIOPSが増えます。なのでOracle Cloudの何が良いかと訊かれたら、私はストレージの性能が出るところだと答えます」(関氏)

 IaaSで同程度のスペックを用意すると、Oracle Cloudは他のクラウドよりも定価ベースで少し高くなる。ところがストレージまで含めた「データベースを動かすような環境」を組んで価格比較すると、Oracle Cloudは安くなることが多いと。さらにサポート価格が含まれていることまで考慮すれば、他のクラウドよりも安価な見積額が出やすいとも言う。こういったところを見ると、Oracle Cloudはデータベースを動かすことが得意なサービスだということが見えてくる。

ブロック・ストレージの価格
ブロック・ストレージの価格

 データベースを動かすところに優位性はあるが、現状、性能のいいストレージサービスが北米のデータセンターからしか提供されていない点には注意が必要だ。この辺りは、先日発表された新たな国内データセンターの早期実現に期待したいところだ。

新しいAutonomous CloudがOracle Cloudを始めるきっかけに

 各クラウドベンダーから、さまざまなPaaSのデータベースのサービスが提供されている。Oracle CloudにもOracle DatabaseとMySQLのPaaSがあり、さらに2017年のOracle OpenWorldで発表されたOracle Autonomous Data Warehouse Cloudも提供を開始した。Oracle Cloudでは、PaaSとして提供されているデータベースサービスもOracle CloudのIaaSとストレージサービスの上で動いている。

「ストレージ性能の良さが、PaaSのデータベースサービスにも発揮されています」(関氏)

 PaaSの場合にもオンプレミスで利用しているOracle Databaseのライセンスを持ち込んで利用できるBYOLにも対応しており、Oracle CloudではOracle Databaseの利用では柔軟な選択肢が用意されている。

「これらを考慮して、利用シーンを具体的に想定して見積もりをすると、Oracle Cloudのデータベースサービスではコストパフォーマンスの良い構成が出てきます。オンプレミスとの併用、さらにはプライベートクラウドとの組み合わせなどもあり、全てを一気にクラウド化せずに段階的にクラウド化できる点も使いやすいのではないでしょうか」(関氏)

 ここまで紹介してきたクラウドの比較は、2017年12月ころまでの状況をアシストが独自に検証した結果だ。各ベンダーのクラウドサービスは日々進化しており、最新状況の比較はその都度比較検証する必要もあるだろう。その上で、自分たちの目的にあったクラウドサービスはどれかを冷静に判断するべきだ。

 アシストでは、最新版となるOracle Autonomous Data Warehouse Cloudの検証も開始している。

「既にかなりの部分まで使い込んで検証しています。Autonomousで実際にどれくらい運用管理者の作業が必要なくなるのか、そんな観点でも検証をしています」(関氏)

 Oracle Autonomous Data Warehouse Cloudの検証結果も、アシストでは今後明らかにしていくことになるだろう。

「ここまでの検証の印象としては、まずは小さな環境から始めることでもAutonomousの効果が感じられそうだということ。Oracle Cloudは後発でまだまだ市場で知られていない面もあり、このAutonomousのサービスが認知を広げOracle Cloudを始める良い切り口になるのではないでしょうか」(関氏)

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https://enterprisezine.jp/article/detail/10693 2018/07/30 11:30

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