要件定義で注意すべきこととは?
1.要件定義とは
これまでの連載でも説明してきたとおり、システム開発は設計~製造~テストという工程を経て進められます。要件定義は設計の前にある工程のことです。
家を建てる話しに例えれば、要件定義は家の設計をする前段階、つまり設計書に反映すべき事柄を確認しておく工程ということになります。例えば「同居する家族は何人か」、「将来的には何人になるか」、「何階建てにするのか」、「部屋の間取りや各部屋の大きさをどうしたいのか」、「駐車場は必要なのか」、「庭は必要なのか」などを把握してから設計に入らないと、何度も設計をやり直すことになります。
システム開発の場合も同様で、設計前に反映する事柄を検討しておく必要があり、それを要件定義といいます。要件定義によって確認しておくべき事柄は大きく2種類あります。「商品を検索する」、「注文をする」といった機能要件と、「何人が同時にシステムを利用するか」、「システムの稼働時間をどこまで確保するか」、「セキュリティ対策はどこまで求めるか」といった性能、品質などの非機能要件の2つです。
2.要件定義に失敗すると、どのような悪影響が出るのか
設計前に要件定義をしなかった場合、一体どのような問題が起こるのでしょうか。考えられる問題は、
- 設計が何度も変わってしまい、予算やスケジュールが守れなくなってしまう
- 完成させたシステムを業務に組み込もうにも、機能不足や性能不足、品質不良などのため業務が成り立たない
- 顧客にサービスを提供できない、長時間待たせるなど多大な迷惑をかける
- 集客数や売上額など、当初期待していたビジネス上の成果が得られない
など、ビジネス的な観点でも非常に深刻な問題を引き起こしてしまいます。このような失敗を防ぐためにも、これから挙げるポイントをしっかり念頭に置いておきましょう。