
私たちジェムアルトは、デジタルセキュリティのソリューションベンダーとしてグローバルに活動しています。セキュリティの実態を把握するためにさまざまな国際調査を実施している中で、この連載では2018年7月に発表した「Data Security Confidence Index」(情報セキュリティ意識調査、DSCI)から、個人情報保護の現状と課題を、日本と他国との比較を交えてご紹介します。
できているのは4社に1社 個人情報のビジネスへの活用
日本では改正個人情報保護法、EUではGDPR(一般データ保護規則)など、個人情報を保護するための法制は各国で強化されつつあります。これは、デジタルマーケティングの時代に個人情報が企業の成長に欠かせない資産となり、ビジネスでの活用が進んでいることの裏づけでもあります。
とはいえ、本当に多くの企業で個人情報が事業に生かされているのでしょうか。DSCIの調査結果では興味深い事実が判明しました。グラフ1をご覧ください。

グラフの数値は、収集した個人情報を「効果的に活用できている」と回答した企業(IT部門の意思決定者)の国際比較です。調査対象国・地域全体で35%、日本では25%にすぎません。地域差もあり、インドでは半数以上、欧州ではすべて30%以下となっています。
日本の25%、4社に1社という数値は、決して高くはないでしょう。その理由はいろいろ考えられますが、今はとりあえず集めておけばよいと考える企業が多いという見方、あるいは、個人情報をビジネスに活かそうと考える企業が実は少ないのだといった見方も、できるかもしれません。
DSCIの結果ではどうでしょうか。グラフ2をご覧ください。「個人情報の収集・分析・活用が競争優位につながる」と考える企業の比率です。日本では91%、調査対象国全体でも89%が、個人情報の収集・分析・活用は競争優位につながると考えています。

つまり、ビジネスに有用だとわかっているから(おそらく用途も想定して)個人情報を収集しているが、活用は思うほどにはできていない、という理想と現実のギャップが存在しています。日本では、4社に3社は思いを達していないのが現状ということになります。もちろんこれは、自分の会社ではうまく活用できていないがそれが多数派だったんだな、と安心してよいという意味ではありませんが。個人情報活用の取り組みはやはり簡単ではない、という結果です。
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河原田 誠司(カワラダ セイジ)
ジェムアルト株式会社 アイデンティティ&データ プロテクション事業本部 リージョナル&チャネルマーケティングマネージャー
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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