企業のデータドリブン化には柔軟性、俊敏性があり圧倒的な高速性が必要
IBMは世界中に研究開発拠点を持っている。これは他のITベンダーがなかなか追随できないレベルのものだ。この体制を活かして5年、10年後に向けた技術開発投資を続けている。IBMの投資領域の1つには、ストレージがある。これはストレージ装置そのものの開発だけでなく、フラッシュメモリをどう活用するのか、さらにストレージとAIを組み合わせ新たな価値をどう提供するかも研究対象となっている。
企業では、自社で持つデータだけでなく企業外にあるデータも組み合わせ活用するようになる。そのためには、さまざまなところにアクセスできなければならない。
データに潜在的な高い価値があっても、セキュアにさまざまなデータにアクセスできる使いやすいプラットフォームがなければ低い価値しか提供できない。IBMではモダンでアジャイルな技術を提供することで、このギャップを埋める。
IBMがもう1つ力を入れているのが、マルチクラウド環境でのデータ活用だ。「企業は既に、さまざまなクラウド環境を使っています。典型的な例では、従来のオンプレミス環境があり、さらにプライベートクラウドを構築しています。その周りで、いくつかのパブリッククラウドのサービスも利用しています」とウォルシュ氏。
IBMでは、主要なクラウドサービス全てをサポートする方針だ。ストレージの活用でこれを実現可能としているのが、「ソフトウェア・デファインド」だ。ソフトウェアの力を活用しマルチクラウド環境であっても、ストレージに柔軟性と俊敏性を与えることができる。それにより、マルチクラウドでもデータドリブンに業務を進められるようになる。その上で、クラウド間でオープン性がありセキュアでコンプライアンスが確保できることも、マルチクラウドでは必須となる。
さらに、先端技術の活用も重要だ。現状であればフラッシュメモリ技術を最大限に活用し、高い性能を発揮することに。同時に運用オペレーションの手間がかからないことも必要だ。これらにも、前述のソフトウェア・デファインドなストレージであることが貢献する。ソフトウェア・デファインドであれば、新たな技術や機能を迅速に取り入れられ将来的にも使い続けられるようにできる。
もう1つストレージでモダン化すべきなのが、バックアップの領域だ。迅速にバックアップが取得できるのはもちろん、取得したバックアップをたとえば災害対策にも利用できるようにする。またバックアップを何かあったときの保険としてだけ確保するのではなく、「カタログ化しておき、他の用途でもローレベルでアクセスができるようにしておきます」とウォルシュ氏。これができれば、バックアップをたとえばデータレイクのように活用できる。これも、企業のデータドリブン化につながる。