
「フラッシュストレージに関する誤解を払拭する」という理由で始めた本連載ですが、前回はフラッシュメモリーそのものの仕組みを紐解き、信頼性について紹介しました。信頼性はエンタープライズシステムにおけるもっとも重要なポイントですが、それと並ぶポイントがパフォーマンスになります。今回は、フラッシュメモリー最大の期待でもあるパフォーマンスの特性や、フラッシュの動作が引き起こすパフォーマンスへの影響など企業が注意しておくポイントについて前後編にわけて解説したいと思います。
HDDとフラッシュストレージ、パフォーマンスの違いは?
信頼性はエンタープライズシステムにおけるもっとも重要なポイントですが、それと並ぶポイントがパフォーマンスになります。事業継続の観点から信頼性がシステム停止に起因するビジネスインパクト、つまり企業のビジネスを止めることに直結することを意味するものとするなら、同じようにシステムのパフォーマンスの低下は企業がお客様に提供するサービスの品質を下げ、その結果お客様が離れることになれば同じようにビジネスに打撃になりえるからでもあります。信頼性もパフォーマンスもサービスレベルからすれば同じような課題といえるでしょう。
さて、今回のテーマはパフォーマンスです。フラッシュストレージになってパフォーマンスは良くなるのかといえば、一般的には「良くなります」、「速くなります」ということになります。フラッシュストレージが高速というのは比較対象として従来のストレージ、HDDベースのストレージがあり、それに比べてということになるでしょう。その評価基準はサービスレベルを担保するに妥当な性能を持ち得るかという点になります。

HDDとフラッシュストレージとのパフォーマンスの違い[画像クリックで拡大表示]
ではフラッシュストレージが速い理由はなぜなのでしょうか?それは半導体だからです、というと話が終わってしまいますが、端的にいえばそのようになります。HDDが機械部品で構成されているがゆえに、またフラッターという磁性体が塗布された円盤に磁気を読み取るヘッドを介して電気信号に変換するというものに比べて、NANDフラッシュの場合はセルの電荷量の制御と判定で決められるものですから、情報に変換するプロセスが短く、高速に処理できるところがその理由ということになります。HDDのアクセス速度の単位はミリ秒で示されますが、フラッシュの場合はマイクロ秒となり、その差は1,000倍になります。
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山本 哲也(ヤマモト テツヤ)
サンディスク株式会社 エヴァンジェリスト
ウェスタンデジタルグループに属するサンディスク株式会社のエンタープライズ向けフラッシュストレージ製品をはじめコマーシャルビジネス製品全体の販売促進活動ならびにアライアンス強化活動等のマーケティングを担当。以前は日本DEC(現、日本HP)や日本オラクル、フュージ...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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