2001年に英国で創業したBlue Prismは、RPAという概念を最初に提唱したベンダーである。国際金融業務を自動化するソフトウェアの開発を手掛けていた同社は現在、世界で700以上の大規模企業を顧客に持つ。日本法人の設立は2017年3月で、第一生命や博報堂、DeNA、住友商事など、主に大規模企業で導入が進んでいる。
バスゲート氏は、「エンタープライズ規模で利用されるRPAは、拡張性、耐障害性、コンプライアンス(法令遵守)、セキュリティが実現されなくてはならない」と説く。この背景には、現在普及している「デスクトップ型」RPAとの違いを明確にする意図がある。
各PCにエージェントをインストールし、その作業内容を自動化する「デスクトップ型」RPAは、導入コスト(初期投資費用)が安価であるメリットがある。半面、一元的な管理が困難で、拡張性に欠けるという欠点がある。
一方、Blue Prismはソフトウェアをサーバにインストールする「サーバ型」RPAだ。「デスクトップ型」RPAと比較して初期導入コストは高額だが、ロボット(ソフトウェア)をサーバ側で一括管理でき、業務の変更にも柔軟に対応できるメリットがある。複雑な分岐を実装した自律型ロボットの迅速な展開や、データの一元管理によるアクセス権の詳細な設定・管理は、「サーバ型」RPAのほうに軍配が上がる。
バスゲート氏は、「従来、RPAに期待されていたのは、業務自動化によるコスト削減だった。現在はさらに進んで(他システムとの)シームレスな統合や業務品質の向上、さらにコンプライアンスの徹底にも影響が及んでいる。(中略)Blue Prismのロボット(ソフトウェア)は、現場の担当者が簡単にロボットを作成できるよう、コードを書く必要がない。企業のIT部門が対応できないような領域での業務効率化に最適なロボットだ」と強調した。
ベスト・オブ・ブリードで他社の機能を活用
現在、同社が積極的に取り組んでいるのが「AI(人工知能)を核に据えたインテリジェントオートメーション(知能・知見を加味した作業自動化)の実現」である。
バスゲート氏は「インテリジェントには、『知識と知見』『視覚認識』『学習』『プランニングと優先順位付け』『問題解決』『コラボレーション』の6つがある」と説明する。
同社はこうしたスキルを自社で構築するか、技術を有する企業を買収するか、他社との提携を通じて顧客に提供するかを考えているという。ただし、いちばん現実的なのが、他社との技術提携だ。
同社はTAP(Technology Alliance Program)を設け、各技術分野で製品・サービスを提供しているベンダーと提携している。具体的にはクラウド事業者では、Amazon Web Services(AWS)、Google、IBM、Microsoft、人工知能の分野では「Microsoft Cognitive」「Cloud AutoML」「IBM Watson」などだ。
さらに最新のBlue Prismでは、ベスト・オブ・ブリードでAPI(Application Programming Interface)やコネクタをダウンロードできる、オープンシステムの「Blue Prism Digital Exchange」を提供する。
これは、Blue Prismが提供するAppStoreのようなもので、アライアンス・パートナーが提供する自然言語処理、画像認識、音声対応といった技術を個別に入手できるというもので、2018年11月中の提供開始を予定している。