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ヤマトの歴史はイノベーションの歴史であり、様々な規制への挑戦 ――ヤマト運輸専務 栗栖利蔵氏

 歴史ある老舗企業においても、時代に合わせた柔軟な経営基盤づくりが重要な課題となっている。2019年に創業100周年を迎えるヤマトグループでも、持続的成長を目的とした経営基盤強化を図るべく、ビジネス基盤構築やデジタルテクノロジーを活用した新規事業、また働き方に直結する業務の効率化など、様々な取り組みを進めている。Gartner Symposium/ITxpo 2018では、同社代表取締役 専務執行役員の栗栖利蔵氏が登壇し、その具体的な施策とともに、そこに根ざすヤマトグループの理念や考え方について紹介した。

100年のヤマトの歴史はイノベーションの歴史

 来年2019年に創業100周年を迎えるヤマトグループ。その中で8割の営業収益を占めるデリバリー事業においては、宅配便国内シェアで1位を誇り、事業を支えるセールスドライバーは約6万人、拠点は全国に7000店にも上る。ここに至るまでに、1919年11月の創業以来、3つのイノベーションが大きな節目となったという。

 まず1929年には日本発の路線事業を開始し、1976年には「宅急便」の事業を開始、直近では2013年に「バリュー・ネットワーキング構想」を立ち上げ、運ぶだけではなく、倉庫事業などの付加価値をつけて提供するという取り組みを開始している。

ヤマト運輸株式会社 代表取締役 専務執行役員 栗栖 利蔵 氏

 栗栖氏は「ヤマトの歴史はイノベーションの歴史であり、様々な規制への挑戦とも言える」と語り、かつて宅配便の開発における5つのコンセプトや経緯について紹介した。また、より小さな荷物に関する規制を巡る行政との調整などについても、「当時としても、新聞広告に当時の主張を掲載するなど、かなりアグレッシブな戦いだったことが伺える。しかし、真摯に交渉した結果、世の中を良くしていくパートナーとして信頼関係を築くに至った」と行政との関係性を評した。

 その後、サービスのコモディティ化を受け、受け手側から「ヤマト便にして」というリクエストをしてもらえるよう、受け手側のサービスも充実させていった。そうした送り手・受け手双方における価値創造によって、年間18億個のインフラになり得た。現在は個人ユーザーが10%、ビジネスユースのBtoC、BtoBが半分ずつという割合になっているという。

 しかし現在、外部環境の変化により、このような成長モデルの継続が困難になりつつあるという。むしろ、近年のECの普及などによる「荷量の増加」が経営リスクにつながりかねない状況にある。労働力の低下や人口減少、地域格差の拡大なども無視できない。栗栖氏は「ECの隆盛は予期していたが、そのスピードは予想以上だった。経営陣の読みの甘さがあって、ドライバーに過大な負担を掛けてしまった」と語り、「大反省し、変えてしていかなければならない」と積極的な改善への姿勢を示した。

 栗栖氏の言葉どおり、ヤマト運輸では100周年に向けた中期計画を一部変更し、2017年9月に「働き方改革」を最優先とした中期経営計画を策定し、発表している。その計画のもと、ガバナンスの強化、そしてデジタルイノベーションをベースとし、その上で「デリバリー事業の構造改革」「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」そして「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つに取り組んできた。

 まずその中軸である「働き方改革」については、単に労働時間を減らすというものではなく、働きやすいハード&ソフトの整備やオペレーションを効率化に取り込むことで『快適な労働環境』や『個の力の最大化』などを実現しようというものだ。結果、未来の担い手を獲得する「採用競争力の強化」にもつながったという。

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事業の構造改革に加え、社会的課題の解決も模索

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

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