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「AI活用の壁」をどう乗り越えるか?――成功から失敗までを知りつくす3人が語る!

AIを始めるなら、具体的には何から始めたらいい?

「Db2 on CloudはAWSならRedshift、GCPならBigQueryに近いかもしれない」(平井) 
DBオンライン チーフキュレーター 谷川耕一 

谷川:平井さんから見るとどうですか?

平井:IBM製品のDb2と言うと「ガチガチのデータベース」というイメージがありますが、「Db2 on Cloud」はAWSならRedshift、GCPならBigQueryに近いかもしれません。ある程度はデータレイクっぽいところもあるけれど、ある程度の前処理をしたデータや表を貯めて、不特定多数の人が使えるようにする。それが現実解としてインプリされているという印象を持ちました。

谷川:エンタープライズカタログが整備されればAIや機械学習に使えるだろうということは理解できました。パフォーマンスはどうでしょうか。

野間:昔に比べてハードウェアの性能が上がり、ストレージが高速になり、それらに助けられてパフォーマンスは十分出せるようになってきています。カラムナとかインメモリの活用といった技術も向上しています。そのためクラウドなどの仮想環境や小規模環境においてデータが大量でも、昔に比べれば短時間で分析できます。そしてそれらをデータベースの深い知識がなくても誰でも利用できるよう、より簡単に利用でき、より汎用的に、RESTのAPIとしてマイクロサービス的に結果を得るといったこともできるようになっています。

谷川:具体的にどこから始めればいいのかに話を移していきます。事前にデータをうまく処理するエンタープライズカタログができれば、おそらくAI活用ができそうです。現実的には何から始めたらいいでしょうか。

平井:その企業のカルチャーやポジショニングにもよります。パイオニアやチャレンジャーとなる企業はさておき、フォロワーとなる企業で考えると「最終的な結果がわかりやすくないと次に行けない」という悩みがあります。例えば「修理部品の在庫が減る」だと、目に見えてお金が節約できます。それぞれの業種業態で、上手くいけば確実に効果があらわれるターゲットを選ぶことが大事です。事例は出つつあるので、アンテナを張って「自分の会社でも行ける」ターゲットを探しましょう。見つけたら、必要なデータは何か、自分の会社にあるのか、あるならどう集めるのか、前処理はどうするか、という流れになるかと思います。

野間:同じ考えです。効果が出そうなターゲットをできるだけ狭く絞り込むことが大事です。効果があるところから始めて、そこを中心にカタログを拡充させていくのがいいでしょう。エンタープライズカタログもスモールスタートで。「小さく始める」のが今の主流です。

谷川:AIを始めるなら、どういう体制で始めたらいいでしょうか。組織や予算など、アドバイスをいただけたら。

平井:すごく難しい問題です。IT、ビジネス、アナリティクス。この3つの要素が必要です。アナリティクスはデータサイエンス系スキルとも言えます。ITとビジネスは多少調整すれば何とかなりそうですが、3つ目はまだ多くの企業が持ち合わせてない要素です。これは短期には解決できず、現実的には少数精鋭となります。内製か調達か、その組み合わせか、早い時期に着手する必要があると思います。

谷川:開発体制も含め、どのようにアプローチしたら上手くいくでしょうか。

野間:専任の人を必ずアサインしてください。AIを片手間でやろうとするお客様がまだ多くいらっしゃいます。このような新しい取り組みはなかなか片手間では回るものではありません。業務知識、分析や統計学の知識も必要です。データソースにアクセスするためのインフラの知識も必要です。幅広い知識が必要になります。また専任の人がデータを使いたいとき、すぐ使えるサンドボックス環境を用意することも重要です。

谷川:これでパネルディスカッションを終わります。ありがとうございました。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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