顧客データに特化したAI技術のEinsteinでは、主に4つのことが実現されている。営業担当などが顧客に対応した結果や顧客の行動のデータから隠れていたパターンや傾向、さらにはインサイトを発見する「Discover」。これらを見つけられれば、たとえば市場のホワイトスペースなどを明らかにすることもできるだろう。
そして2つ目として、パターンが見えてくれば将来起こるであろうことを予測する「Predict」を実現できる。こういった行動をとる顧客は近いうちに商品を購入する可能性が高い、あるいはこういった傾向の顧客満足度は上がる、あるいは下がるといったことも、顧客の行動データなどから予測できる。
予測ができれば、3つ目に実現できるのが「Recommend」だ。顧客が商品を買いそうだと予測されたならば、次にどのようなアクションをとれば良いか、顧客を訪問するのかメールを送るべきかなどを営業担当者に提案できる。さらに4つ目のステップで実現できるのが、リコメンドに応じてビジネスプロセスやワークフローを自動で実行する「Automate」だ。
Salesforceではこれら4つを実現できるEinsteinを「CRMのアシスタントと位置づけています」とセールスフォース・ドットコム プロダクトマーケティング プロダクトマーケティングマネージャーEinsteinの早川和輝氏は言う。すでにEinsteinはSalesforceのさまざまな製品、サービスに組み込まれている。EinsteinのAI機能を活用する際にエンジニアやデータサイエンティストが予測モデルを作るなどの手間は必要ない。Salesforceのユーザーは、Einsteinの機能を有効化さえすればAIの恩恵を受けられる。
「Einsteinの最大の特長は、Salesforceの画面の中に機能として埋め込まれていることです。今まで業務で利用していた画面野中からすぐにAIの機能を活用できます」(早川氏)
Salesforceでは、このようにSaaSに完全に組み込まれたEinsteinだけでなく、ユーザー自身の手で機械学習技術を活用できるようにもしている。機能として実装できないものを、ユーザーがカスタマイズして作れる。これを利用することで、たとえば顧客に対応するインテリジェントのあるボットや、予測ビルダーを使い独自の予測モデルを作ることも可能になる。