AzureでもVMware Cloud Foundationをネイティブにサポート
今回のDell Technologies Worldでは、Dell Technologiesのマルチクラウド戦略が改めて示された。Dell EMCのハードウェアとVMwareを組み合わせた「Dell Technologies Cloud」で、エッジ、コアの高性能なコンピューティングを包括的に管理できる環境をまずは提供する。それに加え、さまざまなパブリッククラウドとそのエッジ、コア環境を連携できるようにする。パブリッククラウドとVMwareベースのエッジ、コア環境をシームレスに連携させるには、VMwareのクラウド管理機能を統合化した「VMware Cloud Foundation」がサポートされている必要がある。
パブリッククラウドのIBM Cloudでは、2017年2月に「VMware on IBM Cloud」という形でいち早くVMware Cloud環境がIBM Cloudで利用できるようにした。Amazon Web Servicesもそれから少し遅れて「VMware Cloud on AWS」という形で、VMware vSphereベースのオンプレミス環境をAmazon EC2ベアメタルインフラストラクチャで動作させられるサービスの提供を始めている。
Microsoftについては、独自のハイパーバイザーを提供していることもあってか、若干対応が遅れた。VMwareのハイパーバイザーを搭載したAzureのベアメタルサーバーに、オンプレミスで稼働するVMwareインフラをそのままホストできるサービスについては2018年より提供していた。先行する2社には後れを取ったが、そこからさらに1歩踏み込んでMicrosoft AzureでもVMware Cloudのサービスを開始することを今回明らかにした。
「我々は、長年に亘り一緒にソリューションを提供していきました。これからは、さらにITインフラの柔軟性が必要になります。ビジネスを前に進めるための柔軟なインフラが必要なのです。そのために我々は最高のVMwareと最高のAzureの、いいとこ取りをしたインフラをすべての顧客が使えるようにします」とナデラ氏は語る。これはVMware Cloud FoundationをAzureに持ち込むことにより実現するものだ。
一方、VMwareのCEOであるパット・ゲルシンガー氏は「これからはシームレスなハイブリッドクラウドが必要になります。それが本当の意味でマルチクラウドのソリューションとなるのです」と言う。VMware Cloud FoundationがAzureでサポートされることで、シームレスなハイブリッドクラウド環境が実現でき、それが顧客が望むマルチクラウド環境を実現することになる。そのためにMicrosoftとVMwareの新たな協業体制を、古くからMicrosoftと強力なパートナーシップを築いてきたDell Technologiesが仲立ちしたというわけだ。
具体的には「Azure VMware Solutions」という形で、Azureの上でVMware Cloud Foundationがネイティブにサポートされることになる。これによりユーザーは、単なるVMwareハイパーバイザーの環境ではなく、AzureのクラウドでVMware Cloudの環境を選択できるようになる。オンプレミスのVMware Cloudで動いているワークロードを、インフラのアーキテクチャやアプリケーションを変更することなくAzureに移行でき、Azureに移行することでVMwareベースのアプリケーションとAzure上のAIや機械学習、IoT機能などを容易に統合できるようにもなる。
Azure VMware SolutionsはMicrosoftが提供するサービスラインナップに加えられ、その機能の開発はVMware Cloudのパートナーである「CloudSimple社」とDell Technologiesファミリーの「Virtustream社」の2社がサポートする。CloudSimple版のVMware Cloudのサービスは既に提供可能となっており、Virtustream版は今年後半から提供される予定となっている。