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まじめな話、AIはデータベースをどのように進化させるのか?

 2019年2月に米国サンフランシスコで開催された、IBMの年次カンファレンス「Think 2019」。Watsonやマルチクラウドの話題が多かったが、それらのIBMの技術群は企業なりがデータを最大限に活用するためのものだ。そしてIBMのデータ活用のソリューションで重要なプラットフォームであり、エンジンとなっているのがDb2だ。じつはThink 2019では、そのDb2の機能強化と将来のビジョンも発表されていた。それが「Db2がAIデータベースになる」というものだった。

AIを使いデータベースを進化させ、アプリケーションにもAIを組み込みやすくする

 そして米国時間6月4日、IBMは企業のデータベース管理のプロセスにAI、データサイエンスを組み込み、アプリケーションでAI活用ができる「Db2バージョン11.5」を発表した。今回のバージョンアップでは多くの機能追加をしており、その1つがデータサイエンスの開発者に向けたサポート機能だ。

 オープンソースのプログラミング言語やフレームワークに対応するドライバーが数多く提供され、開発者はデータ分析やDb2を使ったアプリケーションへの機械学習モデルの組み込みを行いやすくなる。これらは管理の手間を減らし、障害からの自動での回復をするといった可用性の高いアプリケーションの構築を容易にする。Db2バージョン11.5では、Go、Ruby、Python、PHP、Java、Node.js、Sequelizeなどの言語をサポートする。またVisual Studio CodeやJupyter Notebookなどの開発者向けのフレームワークもサポートされ、そのための最新のドライバーとサンプルコードはGitHubより入手できる。

 さらに「Augmented Data Explorer」機能が追加された。これは自然言語でクエリ機能を使えるようにするもので、Googleなどの検索エンジンと同様な使い勝手でデータベースにアクセスできる。たとえばDb2に会話のように質問を投げかけると、対応したデータが可視化され、自然言語で書かれた説明も提示される。

 他にも既にIBM Cloud Private for Dataで利用できた「データ仮想化」の技術も使えるようになる。これにより、多様なデータソースにまたがる検索を、ユーザーは容易に実行できる。この機能を使うことで、データサイエンティストは多くのデータソースから分析に必要なデータを抽出し整備する手間から解放される。開発者も開発する作業に集中できるようになる。

 またDb2バージョン11.5には、共通SQLエンジン(Common SQL Engine)も含まれる。これを利用することでIBM Db2 WarehouseやIBM Db2 Big SQL、IBM Integrated Analytics System、IBM PureData for Analytics (Netezza)システムなど既存のDb2ファミリー製品のいずれも、さらにOracle、Teradata、Microsoft SQL Server、Amazon Redshiftなどもデータソースとしてシームレスなデータへのアクセスを可能とする。

 もう1つ、ブロックチェーンへの対応機能も追加された。これを使えば、アプリケーション開発者はブロックチェーンから直接データを引き出し、そのデータを他のデータソースと組み合わせて分析することが可能となる。Db2バージョン11.5は構成をシンプル化しており、Db2、Db2 Standard、Db2 Advancedという3つの形で提供される。Db2 Standardは大企業の部門あるいは中規模企業の本番システム向けで、Db2 Advancedは中規模以上の企業向けの用途が想定されている。Db2 AdvancedではCPUやメモリ、ストレージに関する制限はない。

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AIでデータベースを進化させ誰でもデータを活用できるようにする

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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