SNSは大好き、しかし銀行取引やサービス購入ではまだ踏み切れない日本
マイクロソフトとIDC Asia/Pacificの調査『アジア太平洋地域の消費者のデジタルサービスに対する「信頼」についての理解』における、日本の調査結果についてIDC Japan ソフトウェア&リサーチマネージャー 登坂恒夫氏が発表した。本調査の対象はアジア太平洋地域における14の国と地域の一般消費者で、全体では6372名、日本では452名が回答した。回答者の年代、性別、職業は均等になるように構成され、デジタルサービスにおける信頼をテーマに設問が用意された。
デジタルサービスといっても、幅広い。利用するデジタルサービスを選んでもらうと、日本ではSNSが10.2%で突出している。アジア太平洋地域全体の倍近くあり、日本はデジタルサービスといえばSNSが最も普及していると言える。ネット購入やネット支払で見ると日本と全体の差はあまり大きくないものの、銀行取引やサービス購入で見ると日本の利用率は目立って低い。
信頼を構成する要素は5つ。回答者が重視する順で並べるとセキュリティ、プライバシー、堅牢性、倫理、コンプライアンスとなった。日本とアジア太平洋地域全体では順位はほぼ同じ。業種別に「情報を信頼できる形で扱っているか」を問うと、信頼性が高いと出たのは金融サービスやヘルスケア。3位以降は日本は小売、製造、自動車と続き、アジア太平洋地域全体では教育、政府、小売と続く。
デジタルプラットフォームにおいて、コストと信頼性で比べるとどうか。「低コストで低信頼」と「高コストで高信頼」でどちらを選ぶかという設問では、アジア太平洋地域全体では「高コストで高信頼」が61%で最も高かったのに対し、日本では中間が59%、「高コストで高信頼」が33%。
登坂氏は「日本の消費者は33%が高コストでも高信頼のデジタルプラットフォームを提供する企業と取引を行いたいと考えている」とコメントしていたものの、その倍近くは中間を選んでいる。日本人の多数は(高信頼を求めつつも)「高コスト」を回避したい心理があるのだろうか。「ほどほど」を好むためか、「コスパ重視」なのか、どう解釈すべきか悩むところだ。