Google Cloudと協業、今後はクラウドファーストで製品を提供する
Teradata Vantage(以下、Vantage)は、データウェアハウスで実績のあるリレーショナルデータベース「Teradata Database」と、非構造化データなどを活用するための分析プラットフォーム「Teradata Aster」を統合している。
統合するにあたり、まずはアプライアンスの環境をハードウェアとソフトウェアに分け、さらにエンジン部分とストレージも分離した。現状のVantageは、共通のストレージとなる「Vantage Data Store」の上に、SQLエンジン、機械学習エンジン、グラフ処理エンジンが載る構成となっている。
さらに各種データソースとなるデータベースやHadoopなどと連携できるようにする「QueryGrid」の機能、既存のBIツール、RやPythonなどさまざまなオープンソース技術なども利用できるようにするオープンなAPIを備え、アナリティクスに必要なものを1つのプラットフォームとして提供する。このVantageは完全なソフトウェアとして提供され、AWS、Microsoft Azureのクラウドで動く。もちろんオンプレミスのTeradataのハードウェアでも動かすことは可能だ。
Teradata Universeの2回目の基調講演に登壇したチーフ・レベニュー・オフィサーのスコット・ブラウン氏は「今はアナリティクスもクラウドに移行しており、Teradataも顧客にクラウドの選択肢を提供します。クラウドならば素早く簡単にアナリティクスを試すことができ、本番への移行もスムースに行えます」と主張。そして、これまでTeradataのビジネスの主力はアプライアンスだったが、今後はクラウドファーストで製品の開発、提供を行うとした。
またクラウドに合わせたライセンスとして、従量課金型のモデルも2020年から提供する。Teradataの従量課金モデルのユニークなものの1つが、クエリー単位での課金だ。発行したクエリーの量の分だけ支払いをするのだ。さらに他にはないものとして、失敗したクエリーは除き成功したクエリー分だけを課金するモデルも予定されている。
Teradataの既存顧客だったジョンソン・エンド・ジョンソンやエネルギー探査企業のCONCHO Researchは、既にAWSで動くVantageへの移行を行っている。またアメリカン航空、ペプシコ、米国空軍などはMicrosoft AzureのVantageに移行している。
そして今回Teradataは、新たにGoogle Cloud PlatformでもVantageを動かせるようにすることを明らかにした。Google Cloudのソリューション・エンジニアリング担当バイスプレジデントのハマドゥ・ディア氏は「クラウドは最早コスト削減のものではありません。拡張性や安全性を求めて企業はクラウドを選択します。さらにさまざまな規制に対応するためにも、クラウドには優位性があります」と言う。
Google Cloudではインフラをグローバルで利用できるようにしており、世界中のさまざまな地域の企業ビジネスを支えている。それはGoogle Cloudだけでなく、パートナーのエコシステムで実現している。今回Teradata VantageがGoogle Cloudに対応することで、Googleが持っているAIや機械学習、翻訳などの機能とVantageを密接に連携させ利用できるようになる。
「TeradataとGoogle Cloudが一緒にサービスを提供することで、大きな価値を顧客に提供できるようになります」とディア氏。ブラウン氏も「Teradataはクラウドの力でデータウェアハウスからアナリティクスプラットフォームへと変革していきます」と強調。Google Cloud Platform版のVantageは、2020年に提供を予定している。
パブリッククラウドの領域では、当初AWSに対応する3rdパーティーの製品、サービスが多かった。これはAWSのシェアが大きく、ビジネスの可能性が大きいので当然の動きだろう。その後次第にシェア2位のMicrosoft Azureとの連携ソリューションが登場している。さらにここ最近は、Google Cloudをサポートする例が増えてきている。今回のTeradataのように、完全にエンタープライズ領域を対象とする企業がGoogleと手を結ぶのは、Google Cloud自身が本格的にエンタープライズ市場をターゲットにしてきたことの現れとも捉えられる。