なぜデータは石油なのか 次の産業革命で何が起こるか
イベントが開催されたのは2019年11月19日。このころは大きなニュースが続いていた。まずヤフーによるZOZO買収がある。元社長となる前澤友作氏がそれまでの経緯と心境を11月14日にブログで公開していた。
データを手に入れることが、今後のビジネスで重要になるのは周知の事実だ。昨今それを端的に示す際によく使われる表現として「Data is new oil」を金山氏は紹介。データは石油に代わる新しい資源になるというたとえだ。金山氏はデータと石油の共通項として「そのままでは役に立たない。精製する必要がある」と「産業全体の革命を推進するもの」の2点を挙げた。
あらためて「なぜデータが必要か」。理由として金山氏は「意思決定をつかさどるから」と指摘する。
例えばある女性が店で服を買おうとしているとしよう。彼女が流行を示したファッション雑誌1冊を目にしたかどうかで、購入する服は「明らかに変わる」と金山氏は断言する。雑誌もデータだ。選ぶ雑誌により選ぶ服は替わる。しかしもし10冊、20冊と増えたらどうだろう。人間だと多すぎてかえって選べなくなってしまう。
データが増えたら分かりやすくする工夫が必要になる。データ活用の場面ならBIツールなどの出番だ。集計し、可視化して、理解しやすくする。データを知覚しやすい形に整形することで、意思決定の精度が高まる。
さらにデータが増えたとしよう。そうなるとBIツールでは足りず、データサイエンティストやAIの出番になると金山氏は言う。BIツールは因果関係を見ることができるが、AIは相関関係を見ることができて、再現性ある形で人間に意思決定に関わる情報を与えることができる。だからこそ「データは意思決定をつかさどる」。
データが石油にたとえられるもう1つの視点として「21世紀の産業革命を推進するもの」がある。19世紀の産業革命は動力の革命であり、人間を重労働から解放した。それでは、データが関わる21世紀の産業革命は何か。金山氏は「知力の革命であり、知的労働からの解放」だと指摘する。データを資源として、AIを活用すれば、これまで人間が考え、判断していたことはAIができるようになる。そうなると生活や雇用も変わっていくだろう。