10人の時代──「やり直せるなら人事(採用)を雇う」
前田:SmartHRは人事部門向けに労務管理のツールを提供するホリゾンタルSaaSの会社、オクトは建設業界向けに建設施工現場向けのプロジェクト管理ツール「ANDPAD」を提供するバーティカルSaaSの会社という違いがあります。創業メンバーの自分たちを含め、最初の10人はそれぞれどんな基準で選びましたか。
宮田:プロダクト開発ではエンジニア、お客様からの申込みの対応では営業と、その時々で足りない機能の人たちを採用してきました。最初の10〜15人に入社した人たちはいわゆるリファラル採用で来た人たちです。皆、僕の昔からの知人で、仕事の実力や価値観が合うことをよく知っていました。
稲田:僕たちもリファラル採用で、アルバイトの2人を含めて最初の10人は誰も退職していません。今もその10人はオクトを支える存在です。
前田:社長としてはどう動いていましたか。
宮田:10人の頃はプロダクト側の人数は揃っていたので、営業の一人と僕がビジネス側を担当していました。僕の場合、元々はWebディレクターだったので、本当はプロダクトのほうが得意なのですが、任せられるメンバーが早期にそろったこともあり、プロダクト側は早くからお任せしたという事情があります。
稲田:一人だけ「プロダクト」にいるのは僕です。営業は別にいたのですが、平日は僕も営業で出かけていたので、毎週土曜日に会議を開いてお客様からの要望を整理し、翌週に何を開発するかを決める日々でした。当時は週末にだけ来るエンジニアもいて、毎週土曜日が一番賑やかだったぐらいです。宮田さんのところとは違って、最初に権限委譲をしたのはコーポレート機能ですね。
前田:当時に戻って、採用の順番を変えられるとしたらどうしますか。
宮田:人事(採用)を早めに採用します。3人ぐらいのチームでプロダクトのベータを出す。お客様からフィードバックをもらって、最初の10社を獲得したら、次は組織の拡大です。専任の採用担当がいないと、貴重なメンバーの時間が大幅に奪われてしまう。日程調整や能動的に候補者にアプローチできる人がもっと早くからいたら今とは違っていたと思います。
稲田:それは僕も同感です。オクトの場合、全国のお客様の声を聞くため、経営チームは地方に営業に出ていて東京にいませんでした。どうしても面接の時間が偏ってしまいましたし、専任の人事がいたらかなり採用プロセスを進められたと思います。