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共創型DX

これだけは押さえておきたい生産性の本当の意味(前編)

シリーズ1: DXは生産性向上の最強の武器である

 この連載では、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を阻む要因を掘り下げ、経営者、顧客、従業員のための「共創型DX」の考え方を紹介する。第一シリーズでは「DXは生産性向上の最強の武器である」と題し、DXが生産性向上のうえでのイノベーションを生み出すことを紹介する。今回はその第三回となる。

産業のサービス経済化がすすんでいる

<p>図1:本連載の中核となる3つの変革テーマ</p>

図1:本連載の中核となる3つの変革テーマ

 DXや生産性の変革を検討するにあたって、知っておいていただきたいことがあります。それはこれらの活動をサービスビジネスの変革の観点からみる必要があるということです。なぜ、そうなのか。そのことを考えるために、今回は産業のサービス経済化とはなにかについてから始めたいと思います。

 第1回でも触れたように、日本でも産業のサービス経済化がすすんでいます。サービス経済化とは、もともとは、卸・小売業や金融・保険業といった伝統的なサービス産業が、生産額のシェアを高め就業者を拡大する一方で、教育、医療や情報などの分野で、新しいサービス産業が誕生していくことを指す言葉です。製造業のGDPに占めるシェアは、2014年には19%まで低下していますが、サービス産業は73%までを占めるにいたっています。

 GDPシェアが低下したといえども、日本における製造業の存在感はとても大きいものです。その製造業のサービス経済化も進んでいます。製造業のサービス経済化は、デザインやアフターサービスといった上流と下流工程を重視するかたちで進んでいます。また、製造工程をアウトソーシングしたり、ファブレスと呼ばれる製造機能をはじめから持たず、デザイン機能に特化した企業が登場してきています。これらの動きも、産業のサービス経済化を助長しています。

DXが産業のサービス経済化を加速させている

 さらに産業のサービス経済化を強力に後押ししているのが、本連載のテーマであるDXです。DXによるサービス経済化の動きはいたるところで起きています。なかでも産業構造の歴史的転換点にある自動車産業は、DXのみならずサービス経済化の観点からも注目すべき産業のひとつです。

 社会学者エズラ・ヴォーゲルは、1979年に出した『ジャパン・アズ・ナンバーワン 』で、世界の頂点にのぼりつめた日本のグローバル製造業を称賛しました。この本では、高度成長期のまっただ中にあった当時の日本の自動車産業や電子産業が、相互に壮絶な生産性向上競争を繰り広げ、生産性のパワーで世界の頂点に立ったことが紹介されました。この工業化社会の時代の経済の主役は、工場で組み立てられる製品であり、倉庫にずらりと並び出荷を待つ製品だったのです。

 しかし自動車産業の構造はDXによって大きく変わりつつあります。そのことを象徴する言葉のひとつがCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electricity)です。CASEとは、以下の4つのことをあらわしています。

  • Connected:IoTによってデジタル直結(=コネクト)されている
  • Autonomous:自律化されている
  • Shared:シェアされている
  • Electricity:電動化(=ロボティクス化)されている

 もうひとつが、MaaS(Mobility as a Service)です。最近は日本でもウーバーテクノロジーズのように、スマホからタクシーを呼び出すサービスが徐々に利用できるようになってきました。このような動きは、カタチのあるモノとしての自動車のスペックやコスト・パフォーマンスに欲求を感じていた時代から、スマホのアプリ呼び出しによって、必要な時に必要な分だけ移動サービスを利用したいという利便性に、顧客の欲求が向けられつつあることを意味しています。

 この連載では、サービス(=コト)や製品(=モノ)に向けられる顧客の需要や欲求、ニーズのことを「デマンド」と呼びます。また顧客がコトやモノ、またはその提供者と接するときに経験する便益や効用、重要性などの価値のことを「バリュー」と呼びます。顧客のデマンドはいまや「移動サービス」というコトを利用することにあって、自動車というモノはその手段にすぎないというわけです。MaaSが、このような変化の動向を象徴する言葉であるとしたら、CASEはその動向を支えるテクノロジーであると筆者は理解しています。

次のページ
コト化を加速するDXの事例:MaaSとそれを支えるCASE

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この記事の著者

宗 雅彦(ソウ マサヒコ)

株式会社サイクス代表
UNIXオペレーティングシステムの開発業務に従事後、オムロンの シリコンバレー・オフィスに駐在。ITベンチャーの先端リサーチ ・発掘・投資・事業開発推進業務を経験し独立。DXをIT経営の 変革と定義し、現場力のDXと未来創造のDXのふたつの観点から、 企業の現場変革と顧客創造の推進支援に取り組む。
株式会社サイクス http://www.cyx.co.jp

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https://enterprisezine.jp/article/detail/12877 2020/04/21 07:00

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