SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

週刊DBオンライン 谷川耕一

Google、IBM、MS、Oracle、AWS──各社のマルチクラウド戦略の違いとは

 エンタープライズITの世界では、昨年くらいからマルチクラウドが新たなキーワードとなっている。これまでのマルチクラウドは複数のSaaSを利用しているか、Amazon Web Services(AWS)とSalesforceなどを組み合わせて利用する程度のものだった。昨今話題となっているのは、コンテナ技術やKubernetesを活用する新たなマルチクラウドの形だ。

Google、IBMが進めるマルチクラウドの形

 コンテナ、Kubernetesの技術を用いたマルチクラウドを進めているのがGoogle Cloudだ。Anthosはマルチクラウド環境でKubernetesクラスタを統合的に管理するプラットフォームで、2020年4月、Anthosのマルチクラウド環境対応版の一般提供の開始をGoogle Cloud blogで明らかにした。今回提供するのは「Anthos for AWS」で、これを使えばAWSの上でAnthosを使ってクラスタによる高可用性構成、自動スケーリング、Amazon VPCに導入し既存のAWSサービスとの連携などが可能だ。Google Cloudの上で動くAnthosであってもAnthos for AWSでも、Google Cloud Consoleを使い一元的な管理ができる。

 Googleは今後、他のクラウドサービスにもAnthosを対応させていく。このように自社のクラウドだけでなく、オンプレミスや他のクラウドでも動くプラットフォームを提供するのが、Googleのマルチクラウド戦略だ。そして、Googleと同様なマルチクラウド戦略の方向性を取っているのがIBMだ。

 IBMはRed HatのOpenShiftベースの環境について、IBM Cloud以外のクラウドでも利用できるようにしている。たとえばコンテナ化されたソフトウェア群である「IBM Cloud Paks」は、IBM CloudだけではなくAWSやMicrosoft Azureなど他社クラウドサービスやオンプレミスでも稼働するようにしている。その中の1つが、AI向けにデータを整備するのに役立つ分析プラットフォーム「IBM Cloud Pak for Data」だ。これは、既にAWS上での利用をサポートしている。

 さらに先日開催されたIBMのバーチャルイベント「IBM Think Digital」では、「IBM Cloud Satellite」を新たに発表した。これは同社のハイブリッド、マルチクラウド戦略を支えるツールの1つで、さまざまなところで動くRed Hat OpenShiftの環境を一元管理するIBM Cloud上のサービスだ。IBM Cloud Satelliteは、日本においては2020年第3四半期に提供予定だ。IBMも、自社のクラウドサービスだけでなく他のクラウドサービス環境への対応をRed Hat OpenShiftを元にして積極的に進めている。

 こういったマルチクラウドの動きに対し、AWSは他からマルチクラウドの対象として真っ先に選ばれる立場だ。AWS自身は、マルチクラウドを積極的に推進しているようには見えない。もちろん同社のサービスに欠けているSalesforceなどのSaaS領域とは、協業、連携する動きを見せている。しかしながら、AWSのサービスをGoogle CloudやIBM Cloudで動かそうとはしていない。

 AWSは、AWS Outpostsの提供などでハイブリッドクラウドやエッジコンピューティングに対応する姿勢は見せている。コンテナやKubernetesのサービスももちろんあり、その上で開発されたアプリケーションは他のクラウドでも動かせるだろう。とはいえこれらは、低レイテンシーでの利用やコンテナ技術の利用といった、顧客ニーズに対応するものだ。AWSの利用でも結果的にマルチクラウドの形になるかもしれないが、あくまでも顧客には自社クラウドサービスを主として使ってもらうのがAWSの戦略だろう。

次のページ
MicrosoftとOracleが進める相互接続でのマルチクラウド

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
週刊DBオンライン 谷川耕一連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/12945 2020/05/18 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング