ITサービスからデジタルワークフローへ
2004年創業のServiceNowは、一般の人々がより効率的な働き方ができるクラウドプラットフォームの提供を目指し、フレッド・ルディー(Fred Luddy)氏が設立したSaaS企業である。社名には「欲しいサービスが今すぐ手に入る」という意味が込められており、「働く人により良い職場環境を提供する」をミッションに掲げる。
ここ数年の同社の業績は好調に推移しており、2019年11月にはS&P 500の構成銘柄にもなった。2019年12月期の売上高は34.6億ドル。ここ数年、前年同期比30%以上の成長ペースを維持しているのは、98%という高い継続率の支えが大きい。高橋氏は「一度導入していただいたお客様が更新だけでなく、新しいアプリケーションも導入して拡張するケースが多いです」と語る。
2018年から同社が注力しているビジネス領域が「デジタルワークフロー」である。ここでのワークフローとは、システムに合わせることなく、人を中心にサービス体験を再設計することを意味する。「優れた体験の裏には必ず優れたワークフローがある」として、従来から重視してきたシステムの運用管理者だけではなく、あらゆるサービス体験をシンプルにするプロダクトを提供しているのが現在のServiceNowと言えるだろう。
従業員体験、顧客体験、ITオペレーションの3つの領域に注力
その注力領域は図1に示す3つである。これらは全世界500人のCIOを対象とする調査結果での課題とも一致しているのだという。
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従業員体験の高度化
企業成長を実現するのは満足した従業員であり、従業員体験の質を高めることが不可欠である。 -
顧客体験の再定義
満足した従業員が顧客サービスを提供すれば、顧客体験の質も向上する。 -
ITオペレーションの変革
IT部門がよりシンプルにITを管理できるようにすることで、従業員体験と顧客体験の質が向上する。