「起業した時から構想していたサービスです」。INDUSTRIAL-X(インダストリアルX)の八子知礼社長は、2020年8月1日からベータ版の提供を始めた「Resource Cloud(リソースクラウド)」をそう紹介した。同社はIoTなどを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)のコンサルティングサービスを手掛けている。
リソースクラウドは、DXに必要な商材の受発注ができるウェブサービスだ。IoTソリューションや現場施工、保険などの金融商品、人材など、そのラインアップは多岐に渡る。これらは、インダストリアルXがコンサルティングを通じて提案するDXプランで使う商材一覧だ。「見た目はEC(インターネット通販)サイトのよう」(八子社長)で、同社が顧客に商材を提供するのに使う。
インダストリアルXがこのサービスを開発したのは、直接の売り上げを期待してのことではない。DXに取り組もうとしない企業の“言い訳”を潰すのが狙いだ。
なぜか言い訳ばかりの企業担当者
人口が減少し、働き手の不足と市場の縮小が目前に迫っている日本ではDXの必要性が叫ばれている。いち早く業務を効率化できれば、他社に先んじて投資をする余裕を作れたり、自社で作ったIoTの仕組みをサービスにして外販したりできる。しかし、「先行者メリットが大きいはずなのに、DXに取り組もうとしない企業が多い」と八子社長は話す。
DXに取り組もうとしない企業のよくある言い訳が、「実績がない」というもの。AIやIoTなど「新しいソリューションが見たいといいつつ、『実績がないから』と導入しないのはよくある話」(八子社長)。こうした言い訳を封じるため、リソースクラウドでは具体的な導入実績をソリューションと合わせて掲載していくという。
「人手が足りない」「詳しい人が居ない」といった言い訳も封じる。“複”業人材マッチングサービスを手掛けるAnother worksがリソースクラウドのパートナーになっており、専門スキルを持った人材を募集できる。
インダストリアルXがDXに取り組もうとしない言い訳を封じるのは、まずは取り組んで見ることが企業の意識を変えるからだ。IoTの仕組みなどを用意し、データを可視化してみると、業務を改善できそうな手応えが感じられる。はじめはやらない言い訳を探しがちだった企業の担当者も、「成果が期待できそうになると態度が変わる」(八子社長)という。
リソースクラウドが扱う商材を導入すればDXができるといったことはない。DXには、企業の主体的な姿勢が欠かせないからだ。しかし、企業の意識を変える最初の一歩にたどり着くには、DXに取り組み始めるしかない。