入社してすぐに「YAMATO NEXT 100」のデータ戦略策定をリード
――最初に中林さんご自身のキャリアを振り返っていただけますか。
1998年に新卒でアルプス電気に入社し、情報システム部で企画から社内アプリケーションの開発に携わりました。もっとテクノロジーのスキルアップをしたいと思いIBMに転職し、アナリティクス関連のソフトウェア事業の組織で、プリセールスからマーケティング、セールスなどの仕事に従事しました。
2010年代に入り、データから価値を引き出すことへの重要性が認識されるようになったことを機にデータサイエンスの世界に入り、IBM時代の終わり頃はお客様と一緒にデータ活用を考えることに取り組んでいました。もっとソリューションを使う側で色々やってみたいと考え、移ったのがオプトホールディングスのデータサイエンスラボでした。ここではラクスルの事業部門チームと売上を最大化するアルゴリズムを考える仕事に従事し、SOMPOホールディングスのデータサイエンスチームの立上げと環境構築、戦略策定の仕事を経て、2019年8月にヤマトホールディングス(以降、ヤマト)に入社しました。
――現職に転じるきっかけはどんなことだったのでしょうか。
声をかけてもらった時、EC取引の増加に伴う「宅配クライシス」が社会問題になり、会社として大きな危機感がありました。日本企業のテクノロジー導入で最も多い失敗はバズワードから始めるケースなので、DXという言葉は使いたくありませんが、私たちの収益源であるデリバリー事業では、あまりデジタル化が進んでいませんでした。データ戦略の重要性を訴えたところ、現社長(長尾裕氏)を筆頭に経営陣からの共感を得たのがきっかけです。
また、2019年度からヤマトは構造改革を加速させていますが、元々フィジカルリソースが充実した会社です。伝統的な組織をテクノロジーとデータでどう変えるか。これは私自身のライフワークでもあり、チャレンジしたいと思いました。現在の私のミッションは、データをグループ横断で最大限に活用し、トランスフォーメーションをするための「データ戦略」を立案し実行することになります。
――最初の所属が社長室だったのは、トップダウンで改革を進めるためですか。
その通りです。社長直下の組織で2020年1月に発表した「YAMATO NEXT 100」の大きな方向性の中でデータ戦略策定を担当しました。「YAMATO NEXT 100」は、2021年4月から始まる次期中期経営計画における戦略の「グランドデザイン」と位置付けられていて、現在はその戦略に沿って組織を変えているところです。