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加速するヤマトホールディングスの物流DX、裏を支える5つのデータ戦略

edited by Operation Online   2020/09/14 11:00

 新型コロナウイルスの感染流行に伴う自粛生活でEC需要はこれまで以上に増加した。同時にその裏を支える物流ネットワークの重要性が改めて浮き彫りになった。私たちの新しい日常で、なくてはならない社会インフラを提供する物流各社であるが、業界大手のヤマトホールディングスはデータドリブン経営への転換を含む改革を加速させている。具体的な取組内容について、同社のデータサイエンス組織のリーダーの中林紀彦氏に訊いた。

入社してすぐに「YAMATO NEXT 100」のデータ戦略策定をリード

――最初に中林さんご自身のキャリアを振り返っていただけますか。

 1998年に新卒でアルプス電気に入社し、情報システム部で企画から社内アプリケーションの開発に携わりました。もっとテクノロジーのスキルアップをしたいと思いIBMに転職し、アナリティクス関連のソフトウェア事業の組織で、プリセールスからマーケティング、セールスなどの仕事に従事しました。

  2010年代に入り、データから価値を引き出すことへの重要性が認識されるようになったことを機にデータサイエンスの世界に入り、IBM時代の終わり頃はお客様と一緒にデータ活用を考えることに取り組んでいました。もっとソリューションを使う側で色々やってみたいと考え、移ったのがオプトホールディングスのデータサイエンスラボでした。ここではラクスルの事業部門チームと売上を最大化するアルゴリズムを考える仕事に従事し、SOMPOホールディングスのデータサイエンスチームの立上げと環境構築、戦略策定の仕事を経て、2019年8月にヤマトホールディングス(以降、ヤマト)に入社しました。

<p>ヤマトホールディングス株式会社 執行役員 中林紀彦氏</p>

ヤマトホールディングス株式会社 執行役員 中林紀彦氏
データをグループ横断で最大限に活用しトランスフォーメーションするための「データ戦略」を立案し実行する役割
 人材育成の仕事として、データサイエンティスト協会理事、筑波大学大学院客員准教授、公的な活動として、NEDO アドバイザリー委員、DX会議・AI活用戦略タスクフォース(経団連)、人間中心のAI社会原則(内閣府)などに携わる。

――現職に転じるきっかけはどんなことだったのでしょうか。

 声をかけてもらった時、EC取引の増加に伴う「宅配クライシス」が社会問題になり、会社として大きな危機感がありました。日本企業のテクノロジー導入で最も多い失敗はバズワードから始めるケースなので、DXという言葉は使いたくありませんが、私たちの収益源であるデリバリー事業では、あまりデジタル化が進んでいませんでした。データ戦略の重要性を訴えたところ、現社長(長尾裕氏)を筆頭に経営陣からの共感を得たのがきっかけです。

 また、2019年度からヤマトは構造改革を加速させていますが、元々フィジカルリソースが充実した会社です。伝統的な組織をテクノロジーとデータでどう変えるか。これは私自身のライフワークでもあり、チャレンジしたいと思いました。現在の私のミッションは、データをグループ横断で最大限に活用し、トランスフォーメーションをするための「データ戦略」を立案し実行することになります。

――最初の所属が社長室だったのは、トップダウンで改革を進めるためですか。

 その通りです。社長直下の組織で2020年1月に発表した「YAMATO NEXT 100」の大きな方向性の中でデータ戦略策定を担当しました。「YAMATO NEXT 100」は、2021年4月から始まる次期中期経営計画における戦略の「グランドデザイン」と位置付けられていて、現在はその戦略に沿って組織を変えているところです。

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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