SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

EnterpriseZine Press

アレン・マイナー氏がDXの本質を指摘 日本企業には1,000年以上変化し続けている歴史があるとエール


 DXという言葉がバズワード化しているが、その本質的な意味とは何だろうか。日本オラクルの初代代表でもあり、投資家としても著名なアレン・マイナー氏とIPA(情報処理推進機構)でDX推進を行っている境 真良氏。そして、サンブリッジ 代表取締役社長の梶川 拓也氏が、10月22日に開催された「CEATEC 2020 ONLINE」でディスカッションを行った様子をレポートする。

日本のDXはここが変

サンブリッジコーポレーション サンブリッジグループ代表 アレン・マイナー 氏(左)独立行政法人情報処理推進機構 参事 社会基盤センターDX推進部長 境 真良 氏(中央)株式会社サンブリッジ 代表取締役社長 梶川 拓也 氏(右)

サンブリッジコーポレーション サンブリッジグループ代表 アレン・マイナー氏(左)
独立行政法人情報処理推進機構 参事 社会基盤センターDX推進部長 境真良氏(中央)
株式会社サンブリッジ 代表取締役社長 梶川拓也氏(右)

 ディスカッションの冒頭、いきなり話題として挙がったのがDXという言葉自体が変だということ。マイナー氏は「DXという言葉はアメリカでは通じない。デジタルトランスフォーメーションというのが一般的です」と紹介した。IPAに参画して以来、世界中のDX情報を調べているという境氏によると、日本以外ではナイジェリアくらいしかDXという単語が使われていないという。

 また、DXが意味するデジタルトランスフォーメーションという言葉に関しても「オラクルに在籍していた頃から感じているが、IT業界では5年周期くらいで新しい言葉が誕生する。キーワードが変わったとしても、効率化を追求するという本質的な部分では一緒」とマイナー氏は説明した。

 次に梶川氏がアメリカにおける具体的なDXの事例をマイナー氏に訊いた。1960年代は会計システム、1970年~1980年代はプロセス管理というように、時代に応じて変革のポイントがあるとし、マイナー氏は「アメリカにおけるDXのムーブメントをリードしているのは、セールフォース・ドットコム。最後まで効率化できていなかった顧客接点の部分をSaaS化して、より密で効率的なものにしてきた」と紹介した。

 DXという言葉を聞くと、どうしてもIT事例ばかりを思い浮かべてしまうが、本質的にはトランスフォームする部分が大切になってくる。その一例として、マイナー氏はブロックバスターがNetflixに淘汰された事例を挙げた。

 ブロックバスターとは、アメリカにおいてビデオ・DVDのレンタルチェーンを展開し、一時は世界中で6万人以上の従業員を抱えるほどの事業規模を誇っていた企業のことだ。しかしながら、2013年に倒産している。NetflixやHuluといった、いわゆるインターネット動画サービスの台頭が原因だとされているが、マイナー氏はこの結果ではなく経緯こそが重要だと語る。

 「Netflixはいきなりインターネットで動画を配信したのではなく、DVDを借りる仕組みをオンライン上で作った。これによって、店舗に縛られることなく、あらゆるジャンルのDVDを用意することができたから流行した。つまり、一部をデジタルトランスフォーメーションしたことで人気が出たということ。どのようにDXを進めていくのかという議論が先にあるべきで、この過程を経ずにDXが進むことが多い」とマイナー氏は強調した。

 さらに同氏は、日本においてDVDのレンタルチェーン店を展開するTSUTAYAがNetfflixに淘汰されなかったことについても言及した。淘汰されなかった要因としてNetflixの上陸が遅かったこと以外にも、インターネット動画サービスを始めるにあたって、店舗ではカフェスペースを提供したり雑貨を販売したりと、空間そのものを売りにするユニークな取り組みが成功していると指摘した。

 これは顧客との接点を常に持ち続けているからできたことだとし、「一番言いたいのは、日本人はIT分野ではすぐにアメリカの真似をするということ。もし、TSUTAYAがアメリカの真似をしていたらブロックバスターと同じように淘汰されている。理解しながら良いところだけを活かすというのが日本の良いところ。これを忘れてはいけない」とマイナー氏は述べた。

次のページ
行政のデジタル化で民間も変わる

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/13543 2020/10/26 17:39

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング