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三澤新社長のもと日本オラクルは顧客から信頼されるテクノロジーアドバイザーになれるか

edited by DB Online   2020/12/17 12:00

フルスタックのSaaSがあることがOracle Cloudの大きな強み

 クラウドベンダーとしてのOracleはSaaSにこそ優位性がある、と言うのは個人的にもその通りだと考えている。もともとクラウドのメリットは、サービスやアプリケーションを作るのではなく利用するところにある。便利なサービスが既にあるならば、それを積極的に活用する。この動きは、コロナ禍の分散した働き方を実現する目的からも、国内で加速している。さらに日本のように思うようにIT部門の内製化が進まない中では、より積極的にSaaSを利用しなければ、少ないIT部門のリソースでビジネス競争力を発揮するためのアプリケーション開発などにはなかなか取り組めない。

 米国で開催されるOracle OpenWorldの基調講演などで、CTOのラリー・エリソン氏がAWSをかなり意識した発言をすることも多く、Oracle Cloudはデータベース中心でクラウドインフラに力を入れているイメージが強い。しかしながら、ビジネスアプリケーションにこそかなり大きな規模がある。そしてOracle Cloudは「SaaSとOCIの両輪があるのがポイントです。それがより顧客のビジネスに直結することになります」と三澤さん。

 まずはビジネスアプリケーションで、次にデータベースを含む新しいOCIのインフラサービスでさらに付加価値をつけるアプローチで、日本のクラウド市場を開拓することとなりそうだ。それにより「ミッションクリティカルな社会インフラのところを、Oracleが守ります。そして社会基盤を支えるベンダーとして社会に貢献したい」とも言う。

 もちろん既存のOracle Databaseのインストールベースを、確実にOracle Cloudでクラウド化することにも注力はするだろう。しかし顧客がAWSやMicrosoft Azureを選ぶのならば、それはそれでも良いとまで言う。適材適所で顧客はクラウドを選ぶこととなり、フルスイートのクラウドネイティブなSaaSを提供できるのはOracleだけであり、ここが大きな優位性だと改めて強調する。

 SaaSの優位性を武器にOCIの先進性と併せ、エンタープライズ企業から信頼されるパートナーになる。そのためには、OracleだけでなくSI企業などのパートナーとの連繋も重要となるはずだ。インフラの部分は、SI企業などが介在するところも多い。それがSaaSだと、パートナーが関わる部分が少なくなりがちだ。そのことを理解しつつ、どうやってビジネスを創出してパートナーと日本のSaaS市場の拡大を図れるか。SaaSが拡大すれば、自ずとOCIのビジネスも拡大する。それが新生三澤社長の主力となる戦略シナリオになるだろう。

 もちろん三澤さんは以前から長くパートナービジネスには関わってきたので、そのことは重々承知のはず。顧客から信頼される存在となることはもちろん、まずはパートナーから改めて信頼される日本オラクルとなれるのか。そのことも、新社長には求められることとなりそうだ。



著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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