SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

Operation Online Column(AD)

専門性の高さを評価する「Azure Advanced Specialization」の価値とは何か

2つの新しい認定制度、その優位性を探る【後編】

 企業にとって、クラウド活用は今や当たり前となっている。新たなシステムをクラウド上で構築すれば、ハードウェア購入などがなく初期投資を抑えられ、インフラ調達時間も大幅に短縮できる。そのため市場変化などに合わせた、システムの迅速な展開や柔軟な拡張が可能となる。このようなクラウドのメリットが理解される中で、既存のオンプレミスにあるシステムのクラウド移行も進んでおり、クラウドネイティブなシステム構築を検討する企業も少なくない。そのような中、マイクロソフトは「Azure Advanced Specialization」という新たな認定制度を設けている。前回取り上げた「Azure Expert MSP」や他の認定制度とは何が違うのか、その狙いを訊いた。

第三者機関の評価により、顧客視点で提案できるパートナーを認定

 クラウドには多くのメリットがあると認識する企業も増え、オンプレミスにある既存システムの移行の需要は大きくなっており、クラウドネイティブなシステムの導入も進んできている。とはいえ、簡単にクラウドへ移行できるものもあれば、ミッションクリティカルなシステムや重要情報を扱うシステムなど、移行にかなり慎重とならざる得ないものもある。今後のデジタル変革の重要性を考えれば、多くのシステムをクラウド化し柔軟性や俊敏性のメリットをいち早く獲得したい。

 慎重に移行すべきシステムについても、安全かつ迅速にクラウドに移行したい。しかしながら、システムのクラウド移行を、何度も経験している企業は少ないだろう。特に企業が自分たちで実施するとなれば多くの場合、移行は初めての経験となるはずだ。

 そのため安全かつ速やかに移行するには、クラウド移行の経験が豊富なパートナー企業にサポートを依頼するのが得策だ。

 そして実際に依頼するとなれば、クラウドインフラに関する技術がありSI能力が高いことはもちろん、「パートナーが顧客のビジネスロジックについて理解している必要もあるでしょう」と言うのは、日本マイクロソフト株式会社 パートナー事業本部 パートナーマーケティング統括本部 マーケティング戦略本部 本部長の猪瀬森主氏だ。顧客のビジネス状況を十分に理解した上で、最適なクラウド活用の提案ができる必要があると指摘する。

 性能重視のシステムもあれば、大規模な災害時にも止まることのないミッションクリティカルシステムもある。また個人に関する重要な情報を扱うため、高いセキュリティ性とコンプライアンス対応が求められるシステムもある。オンプレミスからクラウドへシステムの移行をサポートするパートナー企業は、これら多様なニーズに応えられなければならない。

 マイクロソフトでは「Microsoftコンピテンシー」プログラムで、マイクロソフトのパートナー企業の実績と専門知識を評価しその実力を明らかにしてきた。Goldコンピテンシーの認定を得ていれば、企業はマイクロソフト製品やサービスを利用する際に適切な支援が期待できる。

差別化された2つの上位プログラム
差別化された2つの上位プログラム
[画像クリックで拡大]

 さらにMicrosoft Azureのマネージドサービスを提供するパートナーについては、より高度な専門性を有し安心してクラウド環境の運用を任せられる証しとして「Microsoft Azure Expert MSP(マネージド サービス プロバイダー)」という認定制度も実施している。これはクラウド上でのシステム構築だけでなく運用にフォーカスしており、必須条件を満たすことに加え第三者による多岐にわたる監査を受け合格する必要あり、かなり高いハードルを越えられるパートナーだけに付与されるものとなっている。

 Azure Expert MSPは、Azureのマネージドサービスを提供するパートナーに限定した認定制度だ。マイクロソフトではさらに各種システムのクラウド移行や、Azureで実現するソリューションに特化した「Azure Advanced Specialization」という認定制度も設けている。これは「Windows Server and SQL Server Migration to Azure」「Linux and Open Source Databases Migration to Azure」「SAP on Azure」など、現状7つのソリューションごとに、パートナーの各ソリューションに対する深い専門知識と経験に基づいた高水準なコンサルティング・デリバリサービスが提供できることを証明するものとなる。

Azure Expert MSPは各ソリューションに特化した認定制度となっている
Advanced Specializationは各ソリューションに特化した認定制度となっている
[画像クリックで拡大]

 Azure Advanced Specializationの認証も、ビジネス実績やサーティファイドエンジニアの数などの条件を満たすだけでなく、第三者機関による厳しい審査が必要となる。「第三者機関の客観的な目で判断した結果による認証となり、顧客企業も安心してパートナーにミッションクリティカルなシステムのクラウド移行、クラウド導入を依頼できます」と猪瀬氏は言う。

 オンプレミスとクラウドでは環境が大きく変化している中で、特にクラウドの進化は速い。パートナーが提供してきた従来のSIサービスなどが、時代背景に合わなくなっている部分もある。結果的に製品導入に対する技術力があるだけでは、クラウド移行時にトラブルに発展することもあるのだ。

 「顧客企業がパートナーを選ぶ際に、Goldコンピテンシーの中だけでは見極められなくなってきました。Azure Advanced Specializationでは、変化にあわせ中身も大きく変わっています」と、日本マイクロソフト パートナー事業本部パートナー技術統括本部 第一技術戦略本部 本部長の森 圭司氏も言う。ビジネス実績はもちろん、技術者の質の高さなどについて第三者機関が厳しい監査を行い、顧客目線で提案できるかを審査しているとのことだ。

Azure Advanced Specializationは、パートナーの専門性と得意領域を明らかにする

日本マイクロソフト パートナー事業本部パートナー技術統括本部 第一技術戦略本部 本部長 森 圭司氏 / 同社 パートナー事業本部 パートナーマーケティング統括本部 マーケティング戦略本部 本部長 猪瀬森主氏
日本マイクロソフト パートナー事業本部パートナー技術統括本部 第一技術戦略本部 本部長 森 圭司氏
同社 パートナー事業本部 パートナーマーケティング統括本部 マーケティング戦略本部 本部長 猪瀬森主氏

 Azure Advanced Specializationのパートナー認定は、ソリューションごとに認定される。各ソリューションの売り上げ実績や技術者数などかなり細かい基準が設定されており、パートナーはまずそれらの条件を満たさなければならない。その上で実施される第三者機関による監査では、たんに技術力があり導入経験値が高いかだけでなく、顧客に対しベストプラクティスを提供できるかが審査される。

 そのため、クラウド導入の取り組みの実績をベストプラクティスとしてまとめた「Microsoft Cloud Adoption Framework(CAF)for Azure」に基づく提案を、パートナーができるかも見られることとなる。

 パートナーにとってハードルが高いところは、Azure Expert MSPと同様だ。Azure Expert MSPがどちらかと言えば幅広い対応力を求められるのに対し、Azure Advanced Specializationは「パートナーが自分たちの得意領域で取り組め、特別なスキルと体制を備えていることを証明するものになっています」と森氏は言う。これにより、顧客企業はよりパートナー企業の専門性や特性を理解した上で、支援先を選べることになる。

「Windows ServerとSQL ServerのMicrosoft Azureへの移行」など得意領域で認定取得を目指すことができる
「Windows ServerとSQL ServerのMicrosoft Azureへの移行」など得意領域で認定取得を目指すことができる
[画像クリックで拡大]

 もちろんAzure Advanced Specializationの認定を受ければ、パートナー企業には大きなメリットがある。カスタマージャーニーに沿って各ステージに併せ、ラウンドテーブルの開催やアセスメントの実施、PoCや実際の構築支援などの各種支援プログラムがマイクロソフトから提供される。この支援プログラムは人的なサポートだけでなく、ファンドによる費用面の支援も含まれるのだ。

 「ハンズオンラボに対するファンドなどもあり、PoCや本番導入のための技術サポートや費用支援など、具体的な支援を認定されたパートナーにだけ提供します。これらでマイクロソフトとパートナーが一体となり、顧客のクラウド活用を支援します」と猪瀬氏。

 他にもパートナーと日常的にコミュニケーションをとるための「パートナーセンター」と言うポータルサイトも用意されている。ここにはAzure Advanced Specializationの認定に必要な情報が集約されており、認定取得に対しどのようなポジションにあるかをパートナー自身ですぐに理解できるようにもなっている。

 Azure Advanced Specializationの対象ソリューションとして、近日中に「Analytics in Azure」が追加される予定だ。顧客ニーズに合わせながらAzureのサービスが拡がるため、今後もさらに対象ソリューションは追加されることとなるだろう。Azure Advanced Specializationの制度は、まだスタートしたばかりだ。一気に認定パートナー数を増やすのではなく、各ソリューション分野に特化しているパートナーをまずは確実に明らかにする。そのために、これからもマイクロソフトから、パートナーへのプロアクティブな働きかけと支援を実施していくと森氏は意気込みを語った。

Advanced Specializationを取得するには

Advanced Specialization を取得することができるのは、特定の分野に関する深い知識を有し、その実績を第三者機関の監査で検証されたパートナー様です。リリースされている分野や要件の確認はこちらから

「Azure Advanced Specialization」認定パートナーの紹介

(2020年12月時点、アルファベット順)
企業様紹介文
 
AZPower株式会社:
「Microsoft AzureへのWindows ServerとSQL Server移行」分野

「Power Cloud Plus」

なぜ、Azure Advanced Specializationを取得しようと思いましたか

 少数精鋭の当社は、専門的な高い技術を持ちたいと考えるエンジニアが集う会社です。個の技術を結集した、企業としての技術力を客観的な指標とするため、またそれを表現するためにAdvanced Specializationを取得いたしました。

取得にあたり、どのような専門性や実績を示す必要がありましたか。またはどのような体制整備が必要でしたか

 Microsoftが提唱するCAFやAzure Well-Architected Frameworkへの原点回帰と、それらに忠実に沿った、移行リスク評価・実行手順の標準化・エビデンス取得を精緻化し、ワークフローの再整備を実施いたしました。

Azureにおける強みや実績などを教えてください

 クラウド移行に不可欠なID認証基盤(Active Directory/Azure AD)を得意とする集団です。Azure AD Connectを利用した既存ADのハイブリッド化。グローバル企業でのAD・Azure AD連携をベースとしたEMS、Intuneのグローバル展開。Azure ADを中心としたゼロトラストセキュリティモデルの構築など、AD/Azure ADを熟知した集団だからこその構築ノウハウと実績を有します。

企業様紹介文
 
日本ビジネスシステムズ株式会社:
「Microsoft AzureへのWindows ServerとSQL Server移行」分野
「マイクロソフトの Windows Virtual Desktop」分野

会社概要・サービス詳細はこちら

なぜ、Azure Advanced Specializationを取得しようと思いましたか

 これまで培ってきた技術力や実績を証明するために取得をしました。認定を通じて、さらに継続して技術力を高め、Azureを活用する企業に対して付加価値の高いサービスを提供し続けるために有効な活動だと考えています。

取得にあたり、どのような専門性や実績を示す必要がありましたか。またはどのような体制整備が必要でしたか

 Azureに関する高い専門性、お客様のプロジェクトを実行するための組織的なナレッジ共有と標準化、それらを使ってプロジェクトを進めた実績の証明が必要でした。認証取得の推進チームと複数のAzure技術チームが共同で取得準備を行いました。

Azureにおける強みや実績などを教えてください

 Windows ServerとSQL ServerのAzure上へのマイグレーション、Windows Virtual Desktop 2つのカテゴリーでAdvanced Specializationを取得していること。また、Azureの実績に加えMicrosoft 365、Dynamics 365をも含めたマイクロソフトのクラウドサービスをワンストップで支援できることが強みです。

 

企業様紹介文

株式会社システムサポート:
「Microsoft AzureへのWindows ServerとSQL Server移行」分野
「クラウド支援サービス for Microsoft Azure」 

なぜ、Azure Advanced Specializationを取得しようと思いましたか

 自社の強みであるDB技術が絡むカテゴリーでASを取得することにより、Gold コンピテンシー認定を持つ上位パートナーのなかでも、更なる差別化が客観的にはかれると考えたため取得いたしました。

取得にあたり、どのような専門性や実績を示す必要がありましたか。またはどのような体制整備が必要でしたか

 Windows ServerとSQL Serverのクラウドマイグレーション実績について、実際の複数の案件で使用した資料、ツールを使用して説明しました。実践しているものをベースに説明したのみであり、特別な体制整備は必要ありませんでした。

Azureにおける強みや実績などを教えてください

 SQL ServerのみならずOracleをはじめとした様々なDB技術に精通し、Azureへのマイグレーションの大きなポイントとなるDBマイグレーション部分に多くの実績をもっていることが、我社の最大の強みです。また、昨今データ分析の重要性の高まりから需要が多くなっているDWHに関する知見を持ち、多くの実績をもっていることも大きな強みだと考えています。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/13760 2021/01/29 10:00

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング