日本DX大賞実行委員会は7月16日~17日にわたって「日本DX大賞2025サミット & アワード」を開催し、過去最多となる158件の応募の中から「日本DX大賞2025」の受賞者を発表した。
2日間開催となった今回は、自治体などの公的機関を対象としたDay1で「庁内DX部門」「地域DX部門」「支援部門」を、民間企業を対象としたDay2で「SX部門」「事業変革部門」「業務変革部門」の表彰が行われた。部門別の受賞者は次の通り。

庁内DX部門
- 大賞:都城市「『D(デジタル)に頼り過ぎないDX』~フロントヤード改革から実現する庁内DX~」
- 評価ポイント:デジタルツールの導入を前提とせず、徹底したアナログ業務改革から着手。市民の待ち時間や職員の残業時間を削減した具体的成果と、全国の先進事例を学び続ける変革への姿勢が評価された。

- 優秀賞:指宿市「行政手続最適化プロジェクト」
- 奨励賞:別府市「生成AIを活用したデジタル総合窓口Citizen Navigator構築事業~まずは、⼦育て分野から」
- 奨励賞:福島市「出産・子育て応援DX「子育てするなら福島市」~BPRとデジタル完結で市民の利便性向上と事務の効率化~」
地域DX部門
- 大賞:山形市・TXP Medical株式会社「なぜ救急隊DXは救急医療の質を上げることができるのか~いのちを救う救急DX~搬送困難を解消し、命を守る連携と革新~」
- 大賞評価ポイント:救急搬送困難事案という社会課題に対し、文化やKPIの異なる消防・医療・行政の3者を連携させる情報共有プラットフォームを構築。市民の命を救うという直接的な価値創出と、全国へ展開可能なモデルを確立した点が評価された。

- 優秀賞:福岡市・LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社「屋台DX官民連携で革新を!生成AIとIoTのデジタル技術×歴史ある福岡屋台で新時代の屋台文化創造へ」
- 優秀賞:函館市「ノーコードで挑む『やさしい行政サービス』“子育てに、余白を。”を実現した『現場で育てるDX』」
- 奨励賞:福島市「地域医療DX『休日の救急医療を守れ!』~オンライン診療を活用した小児科休日診療~」
支援部門
- 大賞:株式会社ASAHI Accounting Robot研究所「“ご苦労さん”を“ありがとう”に山形から 東北、全国へ!非IT人材×リスキリングで挑むDXリボーン」
- 大賞評価ポイント:会計事務所という専門家集団が自らを変革し、その知見を活かして全国の中小企業へ伴走支援を展開。着実に支援の輪を広げ、非IT人材のリスキリングを通じて現場の業務を変革している実績が評価された。

- 優秀賞:国立大学法人東北大学「業務のDX推進プロジェクト・チーム」
- 優秀賞:プロフェクト株式会社「全国の中小製造業8社が開発した生産管理システムTEDによるDX実現で『ものづくり復権』」
- 奨励賞:堺市・堺DX推進ラボ「有機的な連携でDX支援を変革~堺DX推進ラボによる地域ぐるみでのDX支援を通じた企業価値向上への道~」
サステナビリティトランスフォーメーション(SX)部門
- 大賞:株式会社トクヤマ「CO2削減と収益性のバランス最適化を図るソリューションの開発と運用」
- 大賞評価ポイント:デジタルツインと経営シミュレータを融合させ、CO2削減と収益性という二律背反の課題を両立。日本の製造業が進むべきSXの道筋を具体的に示した点が評価された。

- 優秀賞:株式会社ミライロ「デジタル障害者手帳『ミライロID』
- 優秀賞:NTTテクノクロス株式会社「牛の起立困難予防声かけAIサービス〜BUJIDAS(ブジダス)〜」
- 奨励賞:株式会社ミスミグループ本社「間接材トータルコストダウンサービスMISUMI floow(フロー)による日本製造業のサステナビリティへの貢献」
事業変革部門
- 大賞:株式会社Shippio・協和海運株式会社「創業60年・老舗通関のベテラン職人達が本気でテクノロジーと向き合い、取扱量6倍・工数約1/5を実現」
- 大賞評価ポイント:伝統産業の知見とスタートアップの技術力をM&Aを通じて融合させ、ベテラン人材の能力をデジタルで増幅。劇的な生産性向上を実現した事業承継とDXの新しいモデルケースとして評価された。

- 優秀賞:株式会社ミスミグループ本社「ミスミが変える製造業の調達モデル革新」
- 奨励賞:大成建設株式会社「建設承認メタバース」
- 奨励賞:アート引越センター株式会社「『あったらいいな』新時代PROJECT2★」
業務変革部門
- 大賞:国立大学法人大阪大学「OUDX:全学DXで新しい日本の大学へ」
- 大賞評価ポイント:大学という巨大組織において、教育・研究・経営を横断する全学的なDXを断行した実行力を高く評価。自学の成功に留まらず、開発システムを他大学へも展開し、日本の高等教育全体の底上げを目指す高い志が大賞に選ばれた。

- 優秀賞:旭化成株式会社「旭化成のデジタル人財育成 -デジタル時代に適応した人と組織の変革」
- 優秀賞:株式会社ヒューマングループ「ヒューマニティー経営─ 管理なし、仕組みで動き、人が輝くOne‐Chat DXモデル」
- 奨励賞:悠悠ホールディングス株式会社「営業・マーケティングDXプロジェクト」
スポンサー賞・審査員特別賞
- Claris FileMaker 賞:地方独立行政法人 北海道立総合研究機構
- サイボウズ賞:有限会社あんしん村グループ
- 勘定奉行賞:株式会社テクノア
- 審査員特別賞:旭化成エンジニアリング株式会社
ポスターセッション(Day1)
- 最優秀賞:株式会社グーニーズグループ「蛇口をひねれば水が出るように、福祉がそばにある。誰もが、どこにいても、支援につながる社会へ」
- 最優秀賞評価ポイント:秀逸なキャッチコピーで福祉の未来像を提示し、具体的なDXの取り組みを見事に表現した構成力が評価された。
- 優秀賞:宝塚市「DXの礎『ひとづくり』宝塚市ビジネススキルアップゼミを通じた持続可能なDX推進体制づくり」
ポスターセッション(Day2)
- 最優秀賞:大阪ガス株式会社「Daigas X(トランスフォーメーション)」
- 最優秀賞評価ポイント:伝統的な大企業がいかにして変革文化を醸成するかという困難なテーマに挑み、トップダウンとボトムアップの両輪で4,000人を巻き込んだ実行力が評価された。
- 優秀賞:日本新薬株式会社「全社員がDXに取り組む組織へ生まれ変わる!」
なお、庁内DX部門で大賞を受賞した宮崎県都城市は3年連続の大賞のため、「殿堂入り」となった。日本DX大賞2025サミット & アワードは8月22日までアーカイブ配信されている。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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