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『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』その思考の源泉とは

デジタル社会で求められる”3つの素養”

 新型コロナウイル感染症の封じ込めにいち早く成功したと言われている台湾。その動きに大きく貢献をしたとして世界中で脚光を浴びているのが、オードリー・タン氏です。今回は、同氏の世界初となる自著『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』を紹介します。

史上最年少で入閣を果たした偉才の生い立ち

 2021年という新しい年を迎え、新型コロナウイルス感染症の流行拡大から1年が迫ろうとしている中、ワクチン接種などの動きは進んでいるものの、終息の兆しはいまだにみえません。そのように各国が五里霧中にある中で、いち早く感染対策に乗り出し、新型コロナウイル感染症の封じ込めに成功したといわれているのが台湾です。

 実際に、新型コロナウイルス感染症の脅威が広く認識されていなかった昨年1月20日の段階で、防疫体制構築のため中央感染症指揮センター(CECC)が設立されています。翌日1月21日に武漢から帰国した女性の罹患が発覚すると、即座に感染経路を確認。感染者と接触した可能性がある人を割り出し、スマートフォンを活用して全員に警告メールを送るという動きもあったと本書『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』では述べられています。

 このように台湾が、デジタル技術を活用した柔軟な対応ができるようになった立役者の一人として脚光を浴びているのが、無任所大臣として台湾デジタル担当政策委員を務めているオードリー・タン(唐鳳)氏です。

 元々、数学が好きだったという同氏は、幼少期からコンピューターに親しんでおり、12歳で繁体字と簡体字を相互に自動変換する「Han convert」というプログラムを公開するなど、才能を開花させていきました。19歳のときにシリコンバレーで起業、2014年に米アップルのデジタル顧問に就任すると、2016年には史上最年少で行政院(日本の内閣府にあたる)に入閣を果たします。

 一見、順風満帆に見えるタン氏の生い立ちですが、実は15歳のときに中学校を中退するという大きな決断を下していたのです。一体、何があってそのような決断に至ったのか。本書では、同氏の原点ともいえる祖父母や両親といった家族との関わりから、インターネットを通じて世界を広げていく様子や内に抱える苦悩までもが、飾らない言葉で述べられています。

マスクマップ誕生のきっかけ

 本書では、タン氏の辿ってきた軌跡だけでなく、新型コロナウイルス感染症対策の様子も克明に記述されています。特に、同氏を日本で一躍有名にしたマスクマップについても、その過程や背景なども詳細に語られています

 日本においても緊急事態宣言が発令された前後でマスクの供給不足に陥り、国民全員が店頭などで不足なくマスクを購入することができる状況に戻るまでは時間を要しました。一方で、台湾ではマスクマップと呼ばれるアプリ上が公開されたことで、購入できないという問題を解決しています。

 これは、アプリ上でマスクの在庫が表示されるというもので、国民はアプリを頼りにマスクを購入することができ、防疫効果に一定の効果をあげたとして世界中から注目されました。このマスクマップですが、政府が主導して作成したわけではなく台湾南部に住んでいた一人の市民が公開したことがきっかけだったといいます。

 なんと、タン氏は政府の情報公開やデジタル化を推進するために公開していたSlackのチャンネルでこのことを知り、すぐにSlackでつながっていた5,000人以上のシビックハッカーへとマスクマップを作成することを提案。これにより、他国に例を見ない速さでマスクマップが公開され、活用されていったと同氏は振り返っています。

 本書の中では、このマスクマップの動きと併せて政府がどのように供給体制を整備しようとしていたのか。そして、タン氏がどのような役割を担っていたかも仔細に記されています。

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デジタル社会で必要な3つの素養

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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