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「あるべき姿」議論で良質な態勢を作れ Marketo Master/Marketo Champion 谷風公一の集中講座【連載第2回】

「マーケティングは顧客のもの」にピンと来るか

 マーケティングに関する書籍を開けば、必ず冒頭あたりに「マーケティングは顧客のもの」と書かれているが、これにピンと来るマーケターが果たしてどれだけいるだろうか。プロモーションを考えたり、日々の業務を行う際に「マーケティングは顧客のものだ」と常に意識しながら進められているだろうか。他社のプロモーションや「これがいいよ」と推薦された手法を真似てみたり、とりあえずハウスリストの顧客全員にメールを送ってみて開封率に一喜一憂したりしていないか。

 古典的なフレームワークに「マーケティングの4P / 4C」というものがある

  • Product / Customer Value
  • Price / Customer Cost
  • Place / Convenience
  • Promotion / Communication with Customer

 マーケティングのプラン(企画)を検討したり見直したりする際に「こういう観点でやればいいよ」とされるものだが(詳しく説明しないので、知らない人はググってください)、ここで注目したいのは、Promotionが最後にあることだ。そこに至るまでのプロセスで、マーケターだけで完結するアクションは何一つないし、これらがクリアにならないと、本来Promotionはできない、ということだ。特に4Cにはそれが顕著に現れていて、簡単に言えば「顧客にとっての企業や商材の価値を定義するところから始めろ」と言っている。

 当然のことながら、企業は顧客がいなければ成立しない。顧客が企業や商材に価値を感じてくれなければ、商いをすることはできない。経営も、営業組織も、この事実をよく知っているから、彼らの企業活動の主語は、まずもって「顧客」だ(もちろん経営はこれだけでないが)。

 そこにマーケターが「プロモーション」観点で自身の企業活動の過程や成果をぶつけても、経営や営業組織と会話が噛み合うわけがない。だから、マーケがいくら頑張っても理解されないのだ。これでは、経営や営業組織と良い態勢を作ることなど出来はしない。では、どうすればよいのか。

 まず「顧客」を共通の話題にして、経営や営業組織と対話をすること。そこからしか、「本当にやるべきプロモーション」への道は開けない、と思ってよい。「マーケティングは顧客のものである」と言われてピンと来なくても、「経営や営業組織と、顧客起点で対話せよ」と言われれば、とりあえずネクストアクションのきっかけくらいはつかめるのではないだろうか。
 
 以前この話をした際、「そうはいっても、マーケは普段、顧客と接してないから分からない」と言われたことがある。そういう方は、残念ながら、顧客を見る努力をしていないか、顧客からの声に耳をふさいでるか、どちらかだ。

 幸いなことに、昔ほど、企業のマーケティング担当者にとって、顧客は「顔の見えない、行動の読めない存在」ではない。もしあなたが、マーケティングに対して「超絶ハイセンスなマーケターがクールなキャッチコピーをひねり出し、顔の見えない世界中の顧客を何かの行動に駆り立てる」ようなイメージを抱いているとしたら、それはかなり時代錯誤的だ。今や、インターネットを介して、地道なプロモーションで顧客とつながり、その反応をインプットに次のプロモーションを仕掛けて顧客とのつながりを強いものにしていくことは、ちょっと気の利いたデジタルマーケティングツールを使えば、いくらだってできる(このあたりの話は今後の連載でも詳しく触れる)。インターネットであなたの企業や商材の名前を検索すれば、たちまち顧客の声を拾うこともできる。マーケティング担当者と顧客の距離は、昔に比べれば、驚くほど近い。マーケティング担当者の視点で顧客を捉え、経営や営業組織と対話することは十分可能だ。


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著者プロフィール

  • 谷風 公一(ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)(タニカゼコウイチ)

    ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 アソシエイト ディレクター。「プロジェクトを成功させるのが得意」なコンサルティングファームで、コンサルタント/ファシリテーターとして、数々の企業変革、DX推進のプロジェクトに参画。2019年、社内でマーケティング部門にスイッチ。自社のマーケ・営業組織を改革、デジタルマーケティングを推進。現在はマーケティング部門の責任者。2019年Marketo Champion、2020年Marketo Masterを受賞。

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