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コンテンツを訴求するためのメディアの見極め方

Marketo Master/Marketo Champion 谷風公一の集中講座【連載第9回】

 「読んでから見るか、見てから読むか」―― これは、角川書店(現・KADOKAWA)が1970年代後半、自社の映画作品を宣伝する際に打ち出したキャッチコピーである。当時は珍しかった「文庫本と映画を連動させ、相乗効果を狙う」という施策が大いに当たり、角川書店は参入したばかりの映画事業とメインの出版事業の両方で成功を収めた。こうした複数のメディアでひとつのコンテンツを訴求する手法は今では「メディアミックス」や「クロスメディアマーケティング」として一般化したが、どこかBtoC寄りの施策のようにも見える。しかしBtoBでもメディア連動は十分有効だし、むしろやらないと顧客にコンテンツが届く確率がグッと低くなってしまう。

同じコンテンツを何度でもリサイクルしていい

 前回、コンテンツとの向き合い方について掘り下げたが、その中であえて触れなかったのが「メディア」の話である。ここでいう「メディア」とは「顧客に届けたい会社や商材の情報を掲載するモノ」を指す。例えば、セミナー、Webサイト、メルマガ、展示会などが挙げられる。「コミュニケーションチャネル」「アセット」「媒体」と呼ぶマーケターもいるかもしれないが、ここでは「メディア」と呼称する。バナー広告や屋外看板など、メディアへの流入を促すことだけを目的としたアイテムについては、メディアには含めない。

 コンテンツの掘り下げにメディアの話を混ぜなかったのは、「企画を練る際、コンテンツとメディアを完全に分離して考えると、いろいろ都合がいい」からである。そう考えるようになったきっかけは、あるセミナーを受講された方との立ち話だった。その方は「今回のセミナーはすごく良かった。前にメルマガで同じような話を読んでもピンとこなかったが、セミナーを受けて、変革を成功させるにはまずもって××が重要、と気づけた」とおっしゃった。私はそれを聞いて「こちらの意図が伝わった」と喜んだのだが、後にあることに気づいた。その方が読んだメルマガには「変革を成功させるには××が極めて重要」と太字で書いてあったのだ。

 このエピソードから、顧客にコンテンツを届けるには、2つの大前提を置くべきである、と悟った。1つは「相手のアンテナはいつも鋭敏とは限らない」ということである。いくら「変革を成功させるには××が極めて重要」と強調しても、受け取り手がそれに興味関心を抱くのは、自身が変革に関わり、かつ、変革に関する何かに悩んでいる時に限定される。事実、前述の方も、自社の変革に携わることになったが何から手を付けてよいか分からず、我々のセミナーに足を運んでくださったそうだ。ポケットマネーで買えるものならいざ知らず、高額で検討に時間を要する商材であるほど、コンテンツを届けるタイミングと相手のニーズが発火するタイミングが噛み合わなければ、せっかくのコンテンツの威力は半減する。

 2つめは「人とメディアには相性がある」ということである。数百ページの書籍をじっくり読むのが苦にならない方もいれば、エッセンスをカジュアルにまとめたメディアを好む方もいる。セミナーにあえて参加することで情報を受け取らざるを得ない状況に身を投じる方もいる。前述の方は「本やメルマガを読み返すよりは、集中して2時間セミナーを聞いたほうが自分の性に合っている」と仰っていた。無論、何かに悩んでいる場合は貪欲に情報を収集しようとするので様々なメディアを受け取ってくれるだろうが、その場合もやはり情報が頭にすっと入ってくるメディアは人それぞれだろう。

 これらの前提から、コンテンツを届ける際に極めて重要なのは「同じコンテンツを何度でもリサイクルしていい」ということである。同じメディアで定期的に同じネタを掲載してよいし、複数のメディアに掲載してもよい。むしろこうしないと、顧客にそのコンテンツが届く確率が高まらない。こう考えると、マーケターとしてはずいぶん気が楽になるだろう。「何か新しいコンテンツを」「あぁ、これは1年前にやったネタだから別のものを」などと考えなくていい。どうせ相手はこちらの思うようにはコンテンツを受け取ってくれない。今回はダメでも、1年後なら目を止めてくれるかもしれない。メルマガがダメならセミナーで訴求すればいい。顧客から「また同じネタですね」と言われたら「この人にはコンテンツをきちんと受け取ってもらえた」とむしろ喜んでいい。「企画を練る際、コンテンツとメディアを完全に分離して考えると、いろいろ都合がいい」の意図がお分かりいただけただろうか。顧客からの評価が高いコンテンツなら尚のこと、何度でも、いつまでも、複数のメディアで、愚直に訴求し続ければいいのだ。

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注力すべきメディアを決める3つの判断軸

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この記事の著者

谷風 公一(ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)(タニカゼコウイチ)

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 アソシエイト ディレクター。「プロジェクトを成功させるのが得意」なコンサルティングファームで、コンサルタント/ファシリテーターとして、数々の企業変革、DX推進のプロジェクトに参画。2019年、社内でマーケティング部門にスイッチ。自社のマーケ・営業組織を改革、デジタルマーケティングを推進。現在はマーケティング部門の責任者。2019年Marketo Champion、2020年Marketo Masterを受賞。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/14985 2021/09/27 12:00

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