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コロナ禍はデジタル変革の推進を加速した 【DXチャレンジ編】第3回

edited by Operation Online   2021/06/25 10:00

 富士通で初めてのデジタル部門の創設やサービス開発に取り組んで来た著者の実践に基づくDX連載の第三回。著者は、富士通 デジタルビジネス推進室エグゼクティブディレクターの柴崎辰彦氏。シリーズの第一部となる「DXチャレンジ編」では、「なぜデジタル変革なのか?」その勘所をデジタル推進部門やIT部門のみならず、経営者やリーダーも含めた企業の全社員に向けて実践経験を踏まえて紹介します。

新型コロナウイルスの影響

 ここで新型コロナウイルスのデジタル変革(DX)の影響について少し考えて見たいと思います。みなさんは、アフターデジタルという概念をご存知でしょうか? 少し前に同名の書籍が話題となりましたのでご存知の方も多いかと思います。これまでの世界観は、リアル(店や人)で接点を持つ人が、たまにデジタルでもつながるというものでした。これからのアフターデジタルの世界観では、デジタルで常につながっている人が、たまにリアルの場での接点を持つようになるというものでした。このアフターデジタルの世界観への移行は、社会・経済のデジタル化によって、何十年かの長い時間を経て、新しい世界観にシフトすると考えられていました。

 しかし、新型コロナウイルスは、この世界観のシフトを速めたと言われています。企業に最初に求められるのは世界的な景気後退への対応であり、コスト削減も重要な課題となります。

 世界的に保護主義や生産の自国回帰への動きが強まりグローバル戦略にも見直しが迫られる可能性もあります。さらに働き方に留まらず、業務プロセス、サプライチェーン、ビジネスモデルのデジタル化が企業の存続を左右する事項になる可能性が出てきました。

 デジタル化は、企業の発展に寄与すると同時に、危機管理やリスク対策としても重要であることが確認されました。コロナ禍の影響による外出自粛やテレワークで、強制的に多くのビジネスパーソンがアフターデジタルの世界観を疑似体験したと言われています。

図1.アフターデジタルの世界観
図1.アフターデジタルの世界観

 緊急事態宣言に伴い、政府はテレワークや出社制限を推奨しましたが、それに対する企業の対応とその影響はどのようなものでしたでしょうか?

 まず、働き方は、“テレワーク環境を整えられず、やむをえず社員に出勤を強いた“という最も低いレベルから”在宅勤務でも通常とほぼ同様の仕事ができた”という影響を全く受けないデジタル化に適応したレベルが考えられます。また、業務・事業という観点では、“社内業務が一部滞った”というレベルから“業務にも事業にもほとんど影響がなかった”というやはりデジタル化に適応できたレベルが考えられます。皆さんの会社では働き方と業務・事業は、どのレベルだったでしょうか?

 ITRが1年前に実施した「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」(2020年4月24日~4月27日、N=1,370件)では、約7割以上の企業がIT戦略の遂行、即ちデジタル化の進展を加速させるという調査結果が報告されています。そして新型コロナウイルス感染対策として、新型コロナウイルス対策として様々な施策が実施されました。皆さんの会社ではこの1年どのようなDX施策が実施されたのでしょうか。

図2.新型コロナウイルス対策としてのDX施策[クリックして拡大]

 この調査結果を整理するとご覧のような5つの施策が浮かび上がって来ます。まず、最初に最低限のテレワーク環境の提供です。これは、リモートアクセス環境の整備やコミュニケーションツールの導入を指します。続いて、快適なテレワーク環境の整備です。これはPC/モバイルデバイスの追加やネットワークインフラの増強が考えられます。実は、多くの日本企業は大企業も含めてこのレベルでつまずいているケースが多いと考えられます。

 そして社内業務プロセスのデジタル化では、社内文書の電子化やワークフローのデジタル化、ファイルサーバのクラウド化が施策として考えられます。このレベルまでが社内のデジタル化に関わるものですが、きちんとデジタル化対応できている企業は多くはありません。

 社外とのやりとりでは、まずサプライチェーンのデジタル化が考えられます。取引先企業やお客様との社外取引のデジタル化や受発注/物流業務のクラウド化、サポート業務やカスタマーサポートの省人化などが考えられます。

 そして将来的には、ビジネスモデルそのもののデジタル化が必要になります。例えば、対面販売を基本としていた足で稼ぐ営業から販売チャネルのオンライン化は、テレビコマーシャルでも伝えられているようにこの一年で現実的な取り組みになりつつあります。さらにアパレルなどの業種では、店舗での販売からオンラインサービスの事業化やサブスクリプションモデルへの移行など、これまでのビジネスのやり方を大きく見直す必要が出て来ています。

図3.アフターコロナで求められるDX施策
図3.アフターコロナで求められるDX施策

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著者プロフィール

  • 柴崎 辰彦(シバサキタツヒコ)

    富士通株式会社にてネットワーク、マーケティング、システムエンジニア、コンサル等、様々な部門にて“社線変更”を経験。富士通で初めてのデジタル部門の創設やサービス開発に取り組む。CRMビジネスの経験を踏まえ、サービスサイエンスの研究と検証を実践中。コミュニケーション創発サイト「あしたのコミュニティーラボ」「Digital Innovation Lab」「FUJIHACK」を立ち上げ、オープン・サービス・イノベーションを実践 。サービス学会発起人 。日本ナレッシジマネジメント学会、情報処理学会、電子情報通信学会、大学等で講演多数。著書『勝負は、お客様が買う前に決める!』(ダイヤモンド社)。

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連載:富士通 柴崎辰彦の「一番わかりやすいDX講義」
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